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ボリビア人は奴隷でない?=激安報酬で18時間働いても

2006年12月22日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】ボリビア人の不法密入国を逆手にとった奴隷労働が改めて問題視されている。密入国のために正規の職業につけず、製縫工場の言わゆる針子として生計を立てていることは一般の知るところで、場所もブラス区の一部に集中していた。
 しかし今は、ブラス区全域はもとより、近隣のパリ、カニンデ、ボン・レチロ、モッカの各区に広がり、果てはイタイン・パウリスタ、ビラ・マリア、リモン、カーザ・ベルデ区に飛び火、深く静かに潜行している。例えばブラス区の十二階建てビルのうち十階は全て工場となっている。さらに隣接する近代的ビルでは四〇室のうち二七室が占められている。いずれも不法営業だ。
 ボリビア人らは工場に寝泊りして一日最低十八時間はミシンと向き合っている。賃金が成功報酬のために少しでも多くの仕事をこなさなければならず、さもないと家賃と食事代で手許に何も残らないからだ。賃金はズボン一着につき一・二〇レアルで、市中で売られる一六レアルのTシャツに至っては一枚〇・一〇レアルとなっている。最高は市販価格四〇レアルの衣装で二レアルとなっている。
 外出は警察の目を恐れて禁止されており、起居は工場内で、ミシンの横に寝具マットを敷くか、便所を利用する。食事は経営者(ボリビア人が多い)が提供する。朝はパンとカフェ。昼と夜はご飯に目玉焼、まれにスパゲティやヒキ肉の肉ジャガ(肉はわずか)が出る。子持ちの家族は子どもをミシンやトイレに縛り付けて仕事をする。女性は経営者に強姦されるケースが増えており、一〇件の苦情のうち六件を占めている。
 全国牧師協会が運営する移民保護センターによると、こうしたボリビア人の実態は把握されていないが、連警とボリビア領事館のデータをつき合わせると、ブラス区のみで三万五〇〇〇人、サンパウロ市全体で七万人に上がるとみている。
 同センターでは奴隷労働だとして改善運動をしているが、工場の経営者らは奴隷に当たらないと反発している。農務奴隷と違い、賃金を払っており、ボリビアでの惨めな生活と比べるとマシな状態だという。
 労働局は不法営業と労働基準法違反の疑いで摘発するが、罰金支払と書類提示の期間の十日間にほとんどがミシンごと雲隠れするので歯止めにならないとボヤいている。