2006年12月22日付け
在名古屋ブラジル総領事館ブラジル人民委員会が行っている無料健康電話相談窓口「ディスケ・サウーデ(Disque Saude)」が、この十月で十周年を迎えた。日本で発行されているポルトガル語紙「Jornal Tudo Bem」が伝えている。今後は、インターネットによるサービス拡大も予定されている。
「ディスケ・サウーデ」は、日本に在住するブラジル人を対象に、月曜から金曜まで、医師や心理士などの診断が電話で受けられるほか、医療関係の案内も無料で受けられるシステム。
現在は、婦人科、小児科、精神科、内科医師ほか、心理士や老人病を専門とする医師六人(うち五人は女性)が、日本語が不十分なブラジル人をポルトガル語で応対している。
同サービスが開始されたのは一九九六年七月。九五年の阪神大震災で負傷した在日ブラジル人の治療活動をきっかけにはじまった、全国各地で医療相談を行う「健康キャラバン(Caravanas de Saude)」を前身に、在名古屋ブラジル総領事館により導入された。以来十年、現在までの利用者は三万八千人以上に上る。
年間の問い合わせ件数は最多の年(九七年)に五千三百八十七人を数えた。今年は九月までで二千八百四十五件。
相談をもちかける理由の多くは、日本語が不十分なことや、日本の保険制度などに関する知識の不足が理由となっている。問い合わせ内容は、特に内科と小児科についてのものが多いという。
近年、年に約五万人のブラジル人が渡日している。しかし在名古屋ブラジル総領事館の調査によると、日本に住むブラジル人の多くが同サービスの存在を知らない。
開始から十周年。同サービスでは、開始当初からメンバーの一人として支えてきた臨床心理士の宮田エミコ・ネウザさん(38)を新しく取締役として承認。総領事館では今後も、人民委員会、在日伯系企業などと共同してサービスを継続することを決定している。Tudo Bem紙によれば、エウリコ・デ・フレイタス総領事は、同サービスの提供の拡大を目的として、パンフレット配布等を進めていく考えを表わしている。
さらに、インターネットを利用したサービス「クリック・サウーデ(Click Saude)」も計画中。これにより、日本各地からより多くの相談がを受け付けることが可能になる。ウェブカメラを使った相談も検討されているという。