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国会議員の給与倍増へ=両院執行部が決定=調整は最高裁判事に準じ=州、市議も右にならえ

2006年12月16日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】上下両院執行部は十四日、任期始めの二月一日から国会議員のサラリーを現行の一万二八四七レアルから二万四五〇〇レアルへ倍増し、最高裁判事の給料に対する定期調整に準じて自動的に調整することを決定した。議員の給与調整は、平均で上限一七%とインフレ目減り分の二八・四%調整の規定であったのを却下した。両院執行部の傍若無人な決定は、裏金や救急車スキャンダルに匹敵するブラジル議会史の汚点となりそうだ。国会の悪例は、サンパウロ州議会や市議会でも導入する動きがある。
 全議員のサラリー倍増案は、両院執行部の決定で表決を要しないというもの。今後の調整は国家公務員で最高クラスとされる最高裁判事の給与調整に準じ、国会議員は最高裁判事並みということらしい。
 最高裁は上限を二万五七〇〇レアルとするサラリー調整案を上程し、国会の表決待ちとしていた。両院執行部は最高裁の上程案に便乗したらしい。国会議員は、サラリーの他に任期前と後に二カ月分のサラリーと議員経費手当一カ月分を受け取り、年で十五カ月のサラリーとなる。
 同決定はカリェイロス上院議長(ブラジル民主運動党=PMDB)とレベロ下院(ブラジル共産党=PCdoB)議長の提案で、執行部メンバーである下議十九人と上議五人の賛意を得た。両人は次期議長選に立候補するため、前もってエサをばら撒いたらしい。
 国会議員の手当て倍増案に反対したのは,自由社会党(PSOL)の議員二人と労働者党(PT)一人のみであった。エレーナ上議は、同決定が労働者の勤労意欲を殺ぐものと批判。最低賃金労働者には雀の涙ほどの調整しか与えないが、議員は濡れ手で粟のつかみ取りだから丸々と肥えているという。議会職員に対しては自動調整を適用しない。
 国会の野放図な施策は、ブラジリアに留まらずサンパウロ州議会やサンパウロ市議会へも波及した。サンパウロ州議会は国会議員にならって州議九十四人のサラリーを現行の九六三五レアルから倍近い一万八三七五レアルへ引き上げることを提案した。その中には毎月もらう賞与二二五〇レアルは含まれない。
 連邦令によれば、州議のサラリーは下議の七五%以下となっている。下議が二万四五〇〇レアルに引き上げるなら、州議は一万八三七五レアルである。サンパウロ州議会は国会の動きに即時反応した。しかも、今年の十三カ月目給料から執行され、表決も不要である。
 市議のサラリー調整は、市の人口による。人口一万人以下都市の市議会は、州議の補助金で市議のサラリーが決まる。一万人以上は人口比例で決まる。人口五〇万人以上の都市は、州議の七五%以下となる。それで計算するとサンパウロ市市議は、一万三七八一レアルに調整される。
 法務審議会(CNJ)が十一月、国家公務員の給与を査定したところ、二九七八人の司法官と公務員、定年退官の公務員が法令で定めた上限を超えていた。超過給与受給者が集中したのはサンパウロ州の高等裁で、一二〇八人もいた。法務審議会は超過分の減俸を命じたが、もめにもめている。