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患者側に不利な医療訴訟=医師の65%に無罪判決下る

2006年12月16日付け

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十五日】診療ミスを訴えられた医師の六五%が裁判で無罪となっている現状が、サンパウロ州地方医療審議会の調査で明らかとなった。
 同審議会は、二〇〇〇年から〇四年までの五年間の医療ミスに対する民事訴訟三五三件の判決を分析。被告の医師一九七人のうちの六五%、病院の五六%が無罪判決を受けていた。
 同審議会を始め司法関係者らは、調査結果への憂慮を示している。医師と患者の不十分な意思疎通、診療ミスを裏付ける証拠を患者側の集める難しさ、診療に対する裁判官の技術的評価が困難であるといった問題が、この結果に反映されているという。
 さらに訴訟の三五%では、裁判官が原告以外の医師に問題となっている診療を鑑定するよう依頼していなかった。鑑定に当たる医師も、密室で行われ証人もいない医療行為を後日に評価し、同業者に対して不利な証言を行うことが難しいという。
 消費者保護が専門の弁護士は、診療ミスと訴訟に発展する可能性も踏まえつつ、治療に伴うリスクについての情報を収集し、薬の処方せんや検査結果などの書類を保管、治療についての医師の説明を書面または可能であれば録音することを患者に勧めている。治療に疑問があれば別の医師の意見を聞くことも必要だとしている。
 同審議会が受け取った医師に対する診療ミスの告発は九五年の一〇二〇件から〇四年には二三五七件へと倍以上に増え、十年間では約一万五〇〇〇人の医師が告発されている。