2006年12月15日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】夏のシーズンの代名詞ともなっている集中豪雨は、今年もすでに三度の被害を各地に与えているが、全国で統計が取り始められた一九八八年から今年までの十八年間で、土砂崩れなどで死亡した犠牲者が一五一九人となっている。統計は一九八八年、リオデジャネイロ州ペトロポリスで鉄砲水のために地滑りが発生、一七三人が命を落としたのを契機に各地で始まった。
サンパウロ市では対策が進んだ効果で死者は年々減少しているものの、当局によると、市内に二〇〇〇カ所あるファベーラのうち、二〇五カ所が危険地区で三万人が様々なリスクを抱えながら生活している、このうち一万二〇〇〇人は人命にかかわる高いリスクだという。
犠牲者は減少したものの、物的被害は年々増える傾向にある。今月四日の集中豪雨は市に一億五〇〇〇万レアルの被害をもたらした。この日は市内の降雨量の平均は五五ミリ立方に達し一〇一カ所が出水騒ぎとなった。さらに二時間にわたり二〇〇万人の経済活動が停止したことで、目に見えない被害も数多くある。
サンパウロ市では都心部のルス区で、全国に先がけて一八八八年から降雨量の測定をしている。この一一八年間で平均降雨量は年間一三五四ミリで、一日の最高降雨は一九八一年三月の一四二・三ミリだった。年間最高は一九八三年の二二二八ミリ、最低は一九三三年の八四四ミリだった。
全国で最も降雨が少ないのがパライバ州セルトン・ド・カリリ市(州都ジョン・ペソア市から一八三キロ)で、一年で一度も降雨がないことも珍しくない。年間平均雨量は三五〇ミリから五〇〇ミリ、一九五二年から一九六〇年までの八年間、一滴の雨も降らず飢きんとなった。
一九七〇年に上水道が施され、井戸も掘られてヤギの飼育、農産物用の水がふんだんに使えるようになった。住民らは、全国はもとより世界一の乾燥地区だと豪語している。ブラジルの乾燥極を唄い文句にしているおかげで、観光客が増えている。
いっぽう、全国で最も降雨が多いのがサンパウロ州サントアンドレ市の一画であることはあまり知られていない。同市の山間部のパラナピアカバ区で、サンパウロ州の最も高い所に位置する、晴れた日はサントス海岸が見える。ここの年間降雨量は三〇〇〇ミリで、前出のセルトン・ド・カリリ市の一〇倍に相当する。今年十月はほとんど毎日雨が降り続いた。