ホーム | 日系社会ニュース | ポンペイア=西村農工校卒業式=涙浮かべて 28人巣立つ=3年間の試練乗り越え=得た最高の〃宝〃は友情

ポンペイア=西村農工校卒業式=涙浮かべて 28人巣立つ=3年間の試練乗り越え=得た最高の〃宝〃は友情

2006年12月13日付け

 ポンペイア西村農工学校の第二十三回卒業式が九日午後七時から、同校の体育館でおこなわれた。保護者など約六百人が集まり、盛大に晴れの日を祝福。八日に九十六歳の誕生日を迎えた西村俊治代表も元気な姿をみせて卒業生を激励した。三年間の厳しい寄宿舎生活を乗り越えた二十八人の卒業生たちは、涙を浮かべて喜んだ。
 式の最後、舞い散る銀色のリボンの下、卒業生らは会場前方に集まり、がっしりと抱き合い涙した――。
 午後七時半ごろ、揃いのスーツを着た卒業生たちが母親と腕を組んで赤い絨毯の上に登場した。
 卒業生を代表してグスターボ・シャデック・ストロッション君は両親や教師、友人、西村代表への感謝の言葉を述べたうえで「この三年間で一生の友情を育むことができた。充実した生活を送ることができた」とあいさつ。他の卒業生たちもこれまでの思い出がこみ上げたのか、目頭を抑えながら聞いていた。
 校歌「HINO・DA・FUNDACAO」の斉唱が終わり、卒業証書の授与。壇上で卒業証書を手渡された卒業生らは、西村代表、西村ジョージ氏と固い握手を交わしたあと、胸に手をポンとあてたりと、思い思いにガッツポーズ。会場からは割れんばかりの拍手が贈られた。
 今月八日に九十六歳の誕生日を迎えた西村代表は、同校設立の経緯などを振り返った上で「ここにいる二十八人がブラジルの発展のために一生懸命尽くすことを願う」と卒業生らを激励した。
 学校の友人、教員や職員らが選んだ「勉学と課題に努力した賞」と「最優秀学生賞」に輝いたジエゴ・ラファエル・ボンフィン・シケイラさんは、式典後の祝賀会で「誇りに思う」と喜んだ。家から初めて離れて生活し、洗濯など身近なことを全部自分でやることに慣れるまで大変だったが「辛いこと以上に三年間の宝は友情」と振り返っていた。
 このほか「最優秀成績賞」にはルーカス・フライズ・デ・アラウージョさん。「友人からもっとも好かれたことを称える賞」にはダニーロ・アンドレ・ペドリーニ・マルコンデスさんが選ばれた。
 入学時に四十二人だった人数は、卒業時には二十八人に減った。厳しい寄宿舎生活を乗り越えた卒業生たちにとって、一番につらかったことは家族と離れて生活したことだ。
 ポンペイアから約千八百キロ離れたマットグロッソ州シノップ市出身のアリ・ジュニオール・カルスブルグさんは卒業生の中で一番遠いところからやってきた。「七月と年末の二回しか帰れなかったことが何よりも辛かった。一年目は仕事もきつく、地元の習慣とも違うこともあったりして、淋しくて毎日家に電話をしましたよ」。
 今年二人いた日系人卒業生の一人、間野ジウベルトさん(16)は「寂しいこともあったけど、ここで培った友情が一番」と笑顔を浮かべた。ジウベルトさんの父親も「息子が立派に成長してくれた。これも西村さんのおかげです」と感謝していた。
 式典にはポンペイアのアルヴァーノ・プリザオ・ジャヌアリオ市長ほか、日系社会からは武田幸子副領事、酒井清一サンパウロ日伯援護協会会長、吉岡黎明文協副会長らが来賓として多数が出席した。
 二十八人の卒業生のうち二十七人がアメリカで一年間研修する。同校を卒業した人は合計七百六十七人。