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松柏・大志万=卒業式の門出で泣き笑い=最難関校の入学試験上位に

2006年12月12日付け

 「これからは自分で正しく判断して、きちんとした道を進んでください」。二日午後五時半ごろ、大志万学院と松柏学園の卒業式がサンパウロ市内パライゾ区の同校の丸山敏雄講堂で行われ、川村真由美校長はこぼれる涙を抑えながらそう語りかけ、十七人の卒業生(八年生)を送り出した。
 中学部を卒業する生徒は、敢えてサンパウロ市で最難関と言われるバンデイランス校の入学試験を受けた。その結果、百番以内に六人、五十番以内に三人が入った。 川村校長は、知識は十分なレベルになりつつあるが、モラルや精神面での教育はこれからも重要。「人が見ていてもいなくても、正しい判断のできる人間になってほしい」とのメッセージを卒業生に送った。
 卒業生を代表して、溝口瑠里さん、片倉みのるさんが先生や職員に感謝の言葉を贈り、泣きながらふるえる様子に、会場からもらい泣きがする声があちこちから漏れた。
 卒業生の多くは二歳からの十二年間、毎日九時間一緒に過ごしている。別々の学校へ進学する嬉しくて悲しい門出を、生徒たちはボロボロ泣きながらお互いを祝った。
 当日は午前九時から、学校全体を使って文化祭が行われ、各教室には生徒たちの作品や研究発表がところ狭しと並べられた。
 立ち見であふれた講堂では、この日のために練習してきた歌や踊り、芝居、演説などを次々に披露された。午前中は幼稚部、午後は一年生から八年生が発表。親はビデオカメラを持って、子供の勇姿を記録していた。
 幼稚部の子供が、可愛いらしい動きと歌で劇を演じると、大きな笑いの渦が何度もおき、涙を拭きながら鑑賞する母親もいた。
 昼前の小学部への進学式で、記念品を授与された遠藤ちえみラリッサちゃん(6)は園児を代表して、「二歳でここに入った私が、来年一年生なんて信じられる?! 絵の世界から文字を読むようになったなんて凄いでしょ」としっかりと話した。
 〇四年十一月に新校舎に移転した時、生徒数は八十人あまりだった。現在は二百人を超える。斉藤・上田・永実副校長は「ここも狭くなってしました」と嬉しい悲鳴を上げる。父兄からは「ぜひ高校部も」という要望がきている。
 小学部から書道、茶道、生け花を習い、中学部では陶芸部、コンピュータ部、新聞部などのクラブ活動もある。八年生を卒業するまでにポ語はもちろん、日本語、スペイン語、英語の四カ国語を習得する。
 四十人の生徒が通う日本語学校、松柏学園の川村真倫子園長はニッケイ新聞の取材に対し、「ブラジル学校としてはまあまあのレベルになってきましたが、まだまだ理想からは遠い」と語り、日本語教育充実にむけてさらに奮闘する意気込みを語った。
 「生まれ変わっても、また教師になりたい。こんなに良い職業はない」