2006年12月9日付け
NHKは、在外邦人の生活を紹介する生放送番組「地球アゴラ」を十七日に放送する。番組では、ブラジルにも焦点があてられ、笠戸丸移民をルーツに持つ日系六世の大西・エンゾ・裕太くん一家を中心にして日本移民の歴史にも触れる。このほど、取材のために関野和利さんが来伯。ブラジル紅白歌合戦やサントスの上陸記念碑、サンパウロ日本移民史料館などで撮影を行った。関野さんは「百周年も近いし、彼ら(大西さん一家)を通して移民の歴史を知るきっかけになればいいね」と話す。番組の放送は十七日、ブラジリア時間の午前十一時十分から始まる。
「地球アゴラ」では、インターネット回線のテレビ電話を使用して、同時に日本と世界約二十カ国を結び、生放送を実現する。「海外に暮らしてみてどうか。海外にいて、今の日本をどう見るか」など、一般の人の目線で体験談を聞きたいという。
二時間で二十カ国と、番組の内容はギッシリ詰まっているが、担当の関野さんは「日本での編集次第だけど、後半一時間のうち、二十分か、三十分くらいはブラジルのことを放送するのではないか」。
上陸記念碑や移民史料館から移民の歴史を紹介し、ブラジル紅白歌合戦から「ブラジルではこんな行事が行われているということと、その会場の雰囲気が日本に伝われば、と思う」。
三日に行われた歌合戦の会場では、数人の来場者にインタビュー。舞台で熱唱する出場者や観客で埋まった会場の様子を撮影した。
「日本側では移民のことを知らない人も多いし、日本が支えられてきたのは、彼ら(移民)のおかげでもある。知らなければならない歴史だよね」。訪日したことのない日系二世が日本のことを強く思っていることなどを例にあげ「日本に伝えられれば」と話した。
「地球アゴラ」は来年四月から月二回のレギュラー番組になる予定。「またブラジルのことを取り上げる機会があるのではと思います」と関野さんは、五日に帰国した。
放送当日は、大西家と日本がテレビ電話でつなげられ、番組が放送される。