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身近なアマゾン(16)――真の理解のために=私有地的に土地占有=貴重な鉱物資源確保目的で

2006年12月9日付け

 □ヨーロッパとアメリカの草刈場サンタレン(2)□
 マナウスの空港が国際空港で、アメリカ、ヨーロッパから直接飛行機が乗り入れ出来るため、様々な国々の人達がやって来る。
 筆者がマナウスから乗り込んだこの国内便にも、多数のヨーロッパ人やアメリカ人が乗り込んで来ていた。英語やドイツ語しか話さない乗客ばかりで、おまけに観光客とは思えない量の携行荷物と共に飛行機から降り立ち、迎えに来ていたトラックにさっさと荷物を載せて、この田舎町のどこかに消えていった。
 アマゾン川中流域のこの地域は、金をはじめ、ウラン鉱石やその他の鉱物ミネラル資源の埋蔵量が底知れない、といわれている。そんな場所を、ヨーロッパ、アメリカの人達が指をくわえてじっと見ているはずがない。
 それらを開発するプロジェクトを作り上げ、秘密裏にちゃくちゃくと研究探査しているように伝え聞いている。この異国の田舎町での地道な研究が、将来の彼らの大きな財産となることは確実だ。〔自分たちだけが、このアマゾンの宝のありかを知っている〕ということは、すでに自分たちがそれら権利を手に入れたようなつもりでいるようだ。
 例えば、サンタレン市の対岸に、その開口部があるトロンベッタ川、その上流にあるトロンベッタの町などは、すでにその広大な地域を一企業が、私有地的に占有しており、ブラジル人はじめ、外部の人間を完全にシャットアウトしている広大な面積がある。
 そこは入域許可証がない限り、ブラジル人であっても入れない。
 ブラジル国内にありながら、まるで治外法権を主張しているようなもので、その中で一体何が行われているのか、当事者以外は極秘なのだそうだ。このように、アマゾンを旅していると、驚かされることが沢山ある。
 サンタレン訪問記がとんでもない話になったが、大方が想像している以上のことが、現地では着実に進んでいることがある。
 何の変哲もない山を見て、日本人であれば〔ただのヤマだ〕と見ている。ところが、ヨーロッパ、アメリカ人には〔宝の山〕と認識している、こういう隠された事実があることを、もっともっと知る必要がありそうだ。
 それにしても、サンタレンのタパジョス川は美しく、水の眩しさを感じる。しかし、この川の上流に展開している多くの支流、細流に多数のガリンポ(金採堀場)があって、現在も水銀をつかった採金作業が行われていて、そのために河川が汚染されている、とは思えないのだが、その水銀汚染も事実のようだ。実際にアマゾン川にも水銀中毒やイタイイタイ病が発生しているところがある。つづく (松栄孝)

身近なアマゾン(1)――真の理解のために=20年間の自然増=6千万人はどこへ?=流入先の自然を汚染
身近なアマゾン(2)――真の理解のために=無垢なインディオ部落に=ガリンペイロが入れば…
身近なアマゾン(3)――真の理解のために=ガリンペイロの鉄則=「集めたキンのことは人に話すな」
身近なアマゾン(4)――真の理解のために=カブトムシ、夜の採集=手伝ってくれたインディオ
身近なアマゾン(5)――真の理解のために=先進地域の医療分野に貢献=略奪され恵まれぬインディオ
身近なアマゾン(6)――真の理解のために=元来マラリアはなかった=輝く清流に蚊生息できず
身近なアマゾン(7)――真の理解のために=インディオの種族滅びたら=言葉も自動的に消滅?
身近なアマゾン(8)――真の理解のために=同化拒むインディオも=未だ名に「ルイス」や「ロベルト」つけぬ
身近なアマゾン(9)――真の理解のために=南米大陸の三寒四温=一日の中に〝四季〟が
身近なアマゾン(10)――真の理解のために=アマゾンで凍える?=雨季と乾季に〝四季〟感じ
身近なアマゾン(11)――真の理解のために=ペルー国境を行く=アマゾン支流最深部へ
身近なアマゾン(12)――真の理解のために=放置、トランスアマゾニカ=自然保護?改修資金不足?
身近なアマゾン(13)――真の理解のために=クルゼイロ=アクレ州の小川で=狙う未知の魚は採れず
身近なアマゾン(14)――真の理解のために=散々だった夜の魚採集=「女装の麗人」に遭遇、逃げる

身近なアマゾン(15)――真の理解のために=眩しい町サンタレン=タパジョス川 不思議なほど透明