2006年12月8日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】主要都市の航空管制が不能となったことで国会は六日、航空管制トラブルを究明する上下両院の二委員会の設置を決議した。主要空港で生じたパニックは、国会でピーレス国防相の引責問題へ発展。大統領府でも、国防相とブエーノ空軍司令官を不適格とする結論に至った。事態収拾のためロウセフ官房長官を中心とする臨時委員会を結成し、航空管制トラブルの処理に取り組むことも提案された。現時点まで政府は何ら緊急措置を施さないまま、コンゴーニャス、クンビッカ、ブラジリアの各空港は欠航や離陸待ち乗客の増加で混乱状態が続いている。
航空管制が麻痺したことで大統領府と国防省、空軍、民間航空庁(Anac)が、連立与党を含む国会議員から責任追及を受けている。大統領府は官房長官を座長とする臨時委員会の結成を考えたが、ルーラ大統領は暫定令発令の意思がないことを表明した。
Anacのズアナジ総裁は、暫定令よりも実務的な方法を進言した。航空機の離陸遅れは、四日時点で一一%であった。遅れ取り戻しの時間表を作成すれば、近日中には平常運行へ復帰できるはずだという。
ジェンロ憲政相は、航空管制の不能で全員が感情的なノイローゼになっていると批判した。政府は、あわてず冷静に対処するという。技術的限界の中で乗客の安全優先を守り、多少の遅れはあると述べた。
大統領は側近と緊急対策を討議し、国防相と空軍司令官の非常事態への対応能力を否とした。二人は月末の組閣で更迭の見込みとなった。緊急対策の臨時委員会は、二〇〇一年の電力危機に際し、パレンテ前官房長官が指揮した臨時委員会システムを導入するものだ。しかし、同案は新たな火種を大統領府へ持ち込むと懸念されている。
一方、航空管制不能という大失策を犯したことで、上下両院の委員会は国防相と空軍司令官を事情聴取のために召喚する予定だ。CPI(議会調査委員会)設置の提案もある。航空管制が麻痺した国は、事実上の死に体国家である。そのような状況の中で、国民は生活をしていると訴えた。
空軍司令部や国家情報局は、連邦警察の否定にかかわらず、サボタージュ説を固持している。通信機器は最新式で新品。同じ場所に据えた同機種で、標準操作の試験を先日行ったばかりだ。偶然のトラブル説を空軍は否定している。
システムを熟知した者が線を切断し、全周波数を停止させたとみている。管制センターにソフトウエアを供与したイタリアのSETTIは、専門家を派遣してトラブルを必ず究明してみせるという。こうなると管制センターの空軍要員は全員、軍規違反の嫌疑をかけられる。
空港で待機していた乗客らは、欠航通知により空港待合室の地面でうなぎの寝床のように一夜を明かさざるを得なかった。空港周辺のホテルは超満員で、次々押し寄せるアブレ乗客の応対に大わらわであった。挙句の果てに、空の安全を脅かす「テロ説」まで飛び出した。無責任なデマの布は危険なので、大統領も憂慮した。