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悠々自適の老後は遠く=子や孫の家計支える=生活難で親元に転がり同居=平均寿命は71・9歳

2006年12月8日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】過去十年間で六十五歳以上の高齢者が年金などで家計を支えているケースが急増している。ブラジル地理統計院(IBGE)が毎年行う平均寿命の調査に加え、初めての試みとなる高齢者の生活形態の調査で明らかとなった。それによると二〇〇〇年までの過去十年間で、高齢者が家計を支えたり、子供や孫が同居する割合は六〇・八%増加した。さらに高齢者の人口増加率は年四%に達し、全国の人口増加率平均一・六%の倍となっており、高齢化社会に移行しつつある。いっぽうで平均寿命は七一・九歳、男性が六八・二歳、女性が七五・八歳で、七・六歳の開きとなった。
 六五歳以上の高齢者が家計の中心となったり、子供や孫が転がり込んできて起居を共にする人の数は一九九一年では六八万八〇〇〇人だったが、二〇〇〇年は一一〇万人に膨れ上がった。高齢者が家計の中心となるのは現在では稀有のこととして映るが、高齢化社会になるにつれ、これはフツーの現象になるとみられている。
 一九九一年での六五歳以上の人口は七〇〇万人だったのが、二〇〇〇年では九九〇万人と四一%の増加となった。年率にすると四%増で人口増加率平均一・六%の倍に相当する。このうち家計を支えている人は、九一年で四三〇万人だったのが、二〇〇〇年は六三〇万人と四七・五%の上昇となった。
 IBGEによると、〇五年に七〇歳を全うした人らは、八五歳まで生き延びる可能性が強く、二〇五〇年には全国で四八九〇万人が六五歳以上となり、このうち一三七〇万人は八〇歳台になるとみている。
 高齢者が家計の中心となる原因は、近年では子供らが親元を離れる年代が高くなったのに加え、生活難から再び舞い戻る傾向が強まっている。また、同じ理由で、孫や曽孫を引き取って扶養する人も増えており、二〇〇〇年には四六万六〇〇〇人となり、十年前の五二・九%増となった。
 典型的な例がアラゴアス州ロテイロ市(マセイオ市から七〇キロ)に住むアルヴィノさん(74)一家だ。アルヴィノさんは結婚歴四〇年で十八人の子供に恵まれた。三〇年間サトウキビ伐採で生計を立て、最低賃金と同額の年金受給資格を得た。妻も同様、今年年金受給資格を得た。子供の半分の九人はすでに死亡したため、孫の面倒を見ている。求職難のため、子供が失業すると家族全員が転がり込んでくる、六五レアルの貧困手当てを含めて、家計はアルヴィノさんが支えている。
 いっぽう、リオデジャネイロ市イパネマ区のカルドーゾさん(80)は娘と孫の三人暮し。娘は夫を亡くし、親元に戻ってきた。カルドーゾさんの年金と娘の遺族年金で暮らしている。娘は子供を抱えてはとても生計が立てられないとして、父親所有の狭いアパートに引っ越してきた。 いっぽうで一日に発表された二〇〇五年度の平均寿命は七一・九歳となった。前年度より短いが二カ月十二日間の伸びとなった。この原因として乳児死亡率の低下が挙げられている。過去五年間で一年四カ月の長寿に加え、乳児の死亡は一四・三%減少した。
 しかし、殺人や交通事故による若者の死亡が絶えず、これが足を引っ張る原因となっている。また、地域毎の生活環境や所得の格差も大きく影響している。
 地域別では、ブラジリアが七四・九歳でトップ、以下ベスト5はサンタカタリーナ州(七四・八歳)、リオ・グランデ・ド・スル州(七四・五)、ミナス・ジェライス州(七四・一)、サンパウロ州(七三・七)となっている。ワースト5はアラゴアス州(六六)、マラニョン州(六六・八)、ペルナンブッコ州(六七・五)、ピアウイ州(六八・二)、パライバ州(六八・三)となった。最高はブラジリアの女性の七八・七歳で、最低はアラゴアスの男性の六二歳、その差は一六・七歳となっている。