2006年12月8日付け
いま、カンポ・グランデが熱い──。同日伯文化体育協会の理事会選挙で、約二十年ぶりにシャッパ(連記名簿)が出され、現会長と副会長が激しい選挙戦を繰り広げ、地元伯字紙までが大きく取り上げた。十一月二十六日の選挙では、現職の中馬パウロ氏(ちぐまん、50、三世)のシャッパがわずか二十七票差で競り勝った。
二十六日付け現地有力紙コレイオ・ド・エスタードも、「百周年が協会選挙を激化させた」との見出しで、両者の方針を紹介するなど、まるで本物の地方選挙のように取り上げた。
対立シャッパを出した城間バウジル・シゲル氏(57)は副会長。「二つに分裂して争うのは良くない」と同文化体育協会の評議員会や理事会が必死の説得に当たったが両派とも譲らず、二十日間ほどの激しい選挙戦を繰り広げた。約六百人の会員に対して、両派から電話や手紙で支持を訴えた。
今年三月にはカンポ・グランデでフットサルの日伯代表戦が行われ、地元日系人が詰めかけ、会場を二分する応援を繰り広げて大きな話題になっていた。この試合は、同州日本移民百周年実行委員会(中馬パウロ会長)の最初の事業。大会収益の寄付を受け、〇八年に向けて弾みがついた。
同州百周年実行委員会は地元日系六団体により、〇五年十一月に組織された。
中馬会長は百周年記念事業として協会敷地内に「老人共生センター」を建設する構想を提案し、今年八月の同委員会で承認された。
コレイオ紙によれば、対する城間氏は「敷地内に遊歩道を作るなどして会員のメリットを増やし、協会の財政を好転させる運営を重視する」との方針を打ち出していた。
十一月二十六日の選挙には、異例ともいえる七割にあたる約四百人が投票に現れた。即日開票され、結果が公表された。現職の中馬氏が二百十一票だったのに対し、城間氏は百八十四票と、わずか二十七票差まで切迫していた。十日には、選挙後初めてのイベントとして忘年会が行われる。
中馬会長は五日、ニッケイ新聞の取材に対して「百周年は団結して迎えなくては意味がない。みんなと話し合って溝を生まないようにしていくつもりだ」と選挙後の対応を語った。老人共生センターに関しても「試合収益に加え、これから州や市にもお願いし、実現に向けて邁進したい」と意気込みをのべた。
同協会の創立は一九二〇年と古く、当初は日本人会として活動し、戦後から活動を本格化させた。移民五十周年の五八年に記念事業として会館を建設し、スポーツから文化まで幅広い活動をしてきた。
来年一月一日からの会長任期二年の間に日本移民百周年を迎える。同年は全伯地方自治体で市議選挙が行われるため、百周年イベントは地元市民への絶好のアピールとなることが今回盛り上がった背景にある、と分析する地元関係者の声もあった。