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子供たちの成長に感動の涙=サンパウロ市=自閉症児学級初めての発表会

2006年12月6日付け

 療育学級支援グループ(菊池義治会長)が運営する自閉症児教育「青空学級」が二日午前十時から、日頃の学習の成果を報告しようと発表会を開催した。生徒たちの成長ぶりを目にした父母や関係者たちは感動、涙を流していた。
 同学級は今年四月にサンパウロ市ビラ・マリアーナ区の日教寺内に開講。日系人の経営としては初めて、薬物に頼らない「生活療法」を基本に日教寺の一室を間借りする形で四人の自閉症児童の教育に取り組んでいる。
 発表会では、四人の生徒たちが手を繋いで登場。家族や関係者約七十人が見守る中、グループによる集団演技やボールを使った運動など、舞台で一生懸命、元気いっぱいパフォーマンスを行った。
 発表会の締めとして、生徒たちが一人ずつ「オブリガード」と会場に感謝の言葉を述べると、拍手の渦が起き、感動して涙を流す人もいた。
 発表会終了後は、生徒達の生活を記録したDVD上映会と昼食会が行われた。
 自閉症とは、「人との交流が苦手」「目が合わない」「一緒に遊べない」「おかしな遊びをする」「危険がわからない」などの症状をもつ。
 一緒に歩くことから始め、食事の時間、トイレ(手洗い)、服のたたみ方、学級にいる全ての時間を使って生活療法を行ってきた。
 子供たちの指導にあたるジョゼ・エドワルド・ドス・サントスさんは、「子どもたちは大きく進歩しています。靴のひもや着替え、食事もできるようになり、簡単な挨拶まで動作で示すようになりました」と話す。
 エドワルドさんは、二〇〇四年にウルグアイの「希望財団」で日本の「武蔵野東学園」が開発した自閉症のための生活療法プログラムを研修。これをブラジルへ持帰り、同学級が開講した当初から指導を行ってきた。
 「始めは手探りの状態で始まった。子どもたちのがんばりを表彰したい」とエドワルドさん。
 菊地会長は「開校して短い期間ながらも、何も話せなかった子どもが話せるようになった。皆さんの支援には本当に感謝しています」と謝意を表わし、「これからは生徒数を増やし社会に貢献してゆける学級を作っていきたい」と目標を上げていた。
 生徒の母親の一人、矢野和美さんは、「ほっとしました。練習より一番良い出来でした」と笑顔を見せた。
 【青空学級】=自閉症児教育の専門家でウルグアイの「モンテビデオ・ヒガシ校」で指導にあたる三枝たか子さんが今年一月、日伯友好病院で、日々の集団生活を通して自閉症の症状改善をめざす療法「生活療法」を紹介。これをきっかけに父母によりサンパウロにも教育施設を作る運動がはじまり、今年四月、サンパウロ日伯援護協会、本門仏立宗日教寺の協力によって開講した。全日制で、現在は四人の自閉症児が通う。「生活療法」は東京の「武蔵野東学園」ではじまり、現在、アメリカや、南米ではウルグアイで実施されている。