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外資189億$が引き揚げ=前政権のほぼ2倍=見限られたサービス部門=レアル高、重税、不況

2006年12月5日付け

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十二月四日】中央銀行は二日、多国籍企業がルーラ大統領の第一次政権が発足した二〇〇三年一月から〇六年十月までに、ブラジルから一八九億ドルの直接投資を引き揚げたことを明らかにした。一九九九年から〇二年まで治めたカルドーゾ第二次政権時の外資引き揚げ額は八九億五〇〇〇万ドルで、一一二%増のほぼ二倍となる。外資の流失は〇五年から〇六年にかけて特に拍車がかかり、一三二億ドルに達した。これは事実上の活動停止、または国内企業との合弁から持ち株を売却して撤退したものとみられる。電気部門の資金引き揚げ額は今年一五億ドルと、トップを占めた。
 全般で見ると、サービス部門からの撤退が六七%と大部分を占め、続いて生産部門が二五%、農業部門が八%。〇五年末時点では、金融部門の撤退が一五億七〇〇〇万ドルで二二・五%とトップであった。電気部門は、五・三%を引き揚げただけであった。
 それが〇三年一月から〇六年十月までに電気分野の資金流失は累計で六一億九〇〇〇万ドルと、総額の二四・四%を占めた。特に仏系EDFの傍系ライト電力が、CemigやGutierres、Pactualからなるブラジル・コンソーシアムに三億二〇〇〇万ドルで持ち株を譲渡したのが、外資流失では目立った。
 ランクで二番目が金融分野の一一億ドル。その約半分の四億九〇〇〇万ドルは、アメリカン・エクスプレスのBradescoへの売却である。外資の流失総額は大きいが、産業全般ではなく、サービス部門に集中という特徴がある。サービス部門は、〇四年の状態に戻ったようだ。
 外資流失は月額平均で見ると、〇四年は毎月一億六六〇〇万ドル。〇五年になると毎月五億八三〇〇万ドルに上った。〇六年は十カ月間に毎月六億一八〇〇万ドルが出ていった。
 見限られたのはサービス部門であって、ブラジルの産業全体ではないといえそうだ。ブラジルから外資が引き揚げた原因は、レアル通貨の高騰らしい。他に重税と景気低迷もある。ドル安であれば、レアルを集めてドルを買い占めるチャンスである。レアル通貨は、外国で含み益がある。
 大きなプラス・アルファーが見込める外国の企業資産を、レアル通貨で買収するチャンスだ。外国投資家にすれば、持ち株を売却してレアル通貨を得、海外で買い物をしたほうが有利。ブラジルに資本投下しても、ブラジル経済の先行きは不透明だし、需要の増加も不安定である。
 玩具業界にも異変が起きている。米系のMattelは、人形バービーとケンのブラジルでの生産を断念し、生産拠点を中国に移した。ブラジルでの生産は、税込みで単価四〇レアルになる。ブラジルでの小売価格を二〇レアルとみていた同社は、中国製の模造品五レアルに対抗する苦肉の策としている。
 ブラジルは、世界的にも有名なオリジナルと海賊版の激戦地である。バービー海賊版の八〇%は中国製で、国内の販売総額は四〇億レアルと見られ、予想を遥かに上回る。