2006年12月2日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】経済成長の鈍足化により、政府筋はGDP(国内総生産)成長の予測の下方修正を余儀なくされている。年初の予想は強気で、四・五%としていたものの、複数回の下方修正でこれまで三・二%と設定されていた。しかしここに来て三%の維持も困難だとの見方が大勢を占めている。
金融界ではすでに独自の判断で今年のGDP成長は二・八%から二・九%との予測を出しており、今回の政府筋の見解に別に驚く様子は見せていない。ただし経済アナリストは、開発途上国と比してブラジルの経済成長率がとくに低く、いわゆるBRICSグループ(ブラジル、ロシア、インド、中国)の中でもとりわけ格差が大きいことから、グループ名を返上すべきだとの声が挙がっている。
今年の一月から十月までのGDP成長はブラジルの二・五%に対し、中国は四倍の一〇・四%、インドが九・二%、ロシアは二倍の六・六%で大きく水を開けられた。
今回の政府内での動揺はブラジル地理統計院(IBGE)が公表した第3・四半期(七月から九月)のGDP成長率によるもので、それによると第2・四半期に比し、わずか〇・五%の成長にとどまった。これを年率に置き換えると二・〇一%となる。
政府の予測では昨年同期対比三・二%となっていたことから大幅減となった。これにより過去十二カ月間の成長は二・三%となり、昨年同期対比では二・五%増に終わった。年間成長率が二%から二・五%を示したのは八〇年代以来の出来事。政府の目標とする年内三・二%に到達するには第4・四半期(十月から十二月)が昨年対比五・二%の成長を遂げねばならず、事実上困難とみられている。
しかし明るい材料も報告されている。設備投資が今年累計で六%上昇とGDP成長を上回ったことだ。これはドル安による輸入資本財の増加や、建築業界の久々の活況と、三年連続の家庭消費の増加が理由となっている。
このほか、これまで不振が伝えられた農畜産部門の復活(昨年対比七・八%の成長)も第3・四半期の注目となった。とくにコーヒー(今年二二%)、サトウキビ(八%)、フェイジョン(八%)、牛肉が好調で、昨年の不況を挽回する勢いを見せている。工業部門は三%、サービスは二.二%で今一つの成長だった。