【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】中央銀行の通貨政策委員会(Copom)は二十九日、基本金利(Selic)を〇・五ポイント引き下げて年利一三・二五%とし、ルーラ第一次政権最後のCopomを閉幕した。基本金利は十二カ月にわたって下げ、一九八六年にCopomが設置されて以来の最低水準となった。しかし、実質金利は八・七%と、世界最高水準にあることに変わりはない。もう一つの注目すべきことは、Copomの見解が理事五人は〇・五ポイントの引き下げ、それに対し三人が〇・二五ポイントの引き下げと、一枚岩のCopomに亀裂が生じたことである。
基本金利(Selic)は、多くの金融関係者の予想通り年利一三・二五%で年を越すことになった。来る十二カ月のインフレ率を差し引いた実質金利は八・七%で、ブラジルの産業を犠牲にした高金利政策と批判された、世界最高水準の高金利国家の王座は揺るがない。
ルーラ第一次政権最後のCopomは、これまで一枚岩と思われてきた委員会の見解が割れたことで注目された。これは二〇〇七年のSelic引き下げ幅が縮小される予兆とみられ、〇七年末の基本金利は一二%止まりと金融関係者は踏んでいる。
多くの金融マンが、基本金利引き下げでCopomの足並みがバラバラであることを懸念している。〇七年一月二十三日第一回のCopomから、Selicは小刻み引き下げに入ると予想されている。
Copomは閉幕後、マクロ経済とインフレの動向を見ながら新たな対策を講じるとした談話を発表した。これは、今後の傾向が予測できないことを意味する。昨年九月からの続落で、年間六・五ポイント引き下げた。ルーラ大統領の就任当初からは一二・二五ポイントの引き下げ。一般市民には、現政権の金利引き下げ政策の実感はまだない。
消費者金融の金利は現在、商店の買い物ローンが年利一〇三・九七%。クレジット・カードが二二四・六二%、銀行の特別小切手が一四八・四八%、銀行の消費者ローン(CDC)が四五・二六%、銀行の個人融資が八八・四〇%、サラ金のローンが二六七・六四%となっている。ルーラ政権の就任当初よりは好転したが、まだまだ厳しい。
財界の見方では、Copomが金利調整に狼狽しているという。中銀の保守主義は常軌を逸しており、ルーラ第一次政権で経済停滞の原因をつくった。しかし、まだその悪夢から抜けきれていない。金利引き下げと金融緩和は遅々として進まず、〇七年もブレーキを掛けっ放しで自動車を走らせる考えらしい。
基本金利の引き下げは、市場金利の引き下げに連動しない。都市銀行は、銀行間のスプレッド(金利差)取引を行うため、市場金利を下げない。スプレッド取引は短期で行われ、高率金利を維持する。このような金融環境では、産業は発展しない。中央銀行はこの辺の事情に目をつぶっている。
インフレ抑制と経済成長を促すCopomは、もっとひんぱんに開催し、キメ細かな通貨政策と財政政策を平行して行うべきだと、全国工業連盟(CNI)が警告。通貨政策は安易な国債発行や資金調達を抑制、投資促進の環境整備を優先するために一連の改革を急ぐこと。それなくして通貨政策は、さいの河原の石積みという。
基本金利、年13.25%に=12カ月連続低下=86年以来、最低の水準=実質金利は依然世界一
2006年12月1日付け