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応援団1000人超が訪日へ=FIFA世界クラブ選手権=インテル=優勝狙い涙ぐましい努力=「日本人の友だち作れ」=マナー講習会の開催も

2006年12月1日付け

 サッカークラブチームの六大陸王者を決定するFIFA世界クラブ選手権(旧トヨタカップ)が十二月十日から東京で開催されるに当たり、初出場するインテルナショナル(以下、インテル)は、一千人もの応援団を引きつれて訪日し、大旋風を巻き起こそうと準備を着々と練っている。応援歌の日本語訳、クラブ紹介する日本語本出版、応援団向けの日本のマナー講習会などちょっと珍しいまでの力の入り具合だ。
 サンパウロ市在住のサッカージャーナリスト、沢田啓明さんはずばり「南米サッカー特有の勝負強さを発揮すれば、優勝の可能性はありますよ」と断言する。「ただし、早めに日本入りしてコンディション調整をしっかりするなど、徹底的に準備しないと難しい」と条件をつける。
 インテルは、元日本代表監督のファルコン、W杯九四年アメリカ大会でブラジルが優勝した時のキャプテンのドゥンガなどを輩出した、リオ・グランデ・ド・スル州都ポルト・アレグレ市を拠点とする名門。
 犬猿の仲のライバルチーム、グレミオは過去、リベルタドーレス杯に一九八三年と九五年と二回優勝、うち八三年にはトヨタカップでも優勝していることもあって、世界制覇に並々ならぬ闘志を燃やしている。
 さらに、今回の決勝戦で当たると目されるバルセローナ(スペイン)には、グレミオ出身のロナウジーニョ・ガウーショがいることもあって、ライバル熱は急上昇中だ。
 同選手権では昨年、サンパウロFCが優勝し世界中で大々的に報道された。今年初めてリベルタドーレスで優勝し、日本行きの切符を手に入れたインテルにとって、事実上初めての世界的な大舞台だ。
 常連のサンパウロFCと違い、インテルの国際的知名度は低い。選手権を取材するマスコミ向けに、英語と日本語のクラブ紹介本を一千冊用意し、日本のファンに知ってもらおうと準備を進める。
 同クラブでのマーケティング担当副会長のオッタビオ・ロージャスさんはニッケイ新聞の取材に答え、「ブラジル選手権大会では十試合も補欠選手中心で戦って、主力を温存してリベルタドーレスに注力した。全伯から一千人以上の応援団が日本へ行く。日本人と友だちになって、一人ずつスタジアムに連れてくれば二千人の応援団になる」と意気込みを語った。
 十一月二十五日、クラブ内大講堂に訪日予定の応援団四百五十人を集め、日本での地下鉄の乗り方から食生活、習慣などを教えるマナー講座まで開催した。「日本人は麺類(ソバやラーメン)を食べる時に音をたてるが、イヤな顔をしたりコメントしてはいけない」「バスや地下鉄で大声でしゃべらない」など日本で好印象を得るために涙ぐましい努力をするようだ。
 そのほか、「日本のバスは時間通りの出発するので絶対に遅れないこと」など交通機関の乗り方や、「バスの窓から旗を出すと日本では罰金になる」など事細かに説明が行われた。
 また、応援歌の日本語版「コロラード(応援団愛称) 絶対分かれない どこまでもついて行く どこでも いつまでも 愛してる」も応援団が集まって練習しており、日本のスタジアムで響かせるという。
 九八年W杯フランス大会で日本代表として活躍した呂比須ワグナーを招いて、日本での戦い方のアドバイスも受けた。ロージャスさんは「午後二時、三時に昼寝して時差ぼけを減らすなど、彼からは良いアイデアをもらった」と語った。
 在ポルト・アレグレ日本国駐在官事務所の木村元(はじめ)領事は、実は大のインテル・ファン。「今年は南伯日本人移住五十周年で、日本をアピールする記念イベントを二十以上もやった。そこへインテルの東京行きで、さらにこちらでは日本の注目を浴びてます。ぜったい盛り上がりますよ」と声を弾ませる。
 同事務所だけで五百人近いファンがビザ申請におしよせ、「毎日列をなして大変。連日、残業残業です」と嬉しい悲鳴をあげる。
 同選手権は十日から十七日まで開催され、他にアフリカ代表(エジプト)、アジア代表(韓国)、オセアニア代表(ニュージーランド)が参加する。