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郷土に残る芸能文化を紹介=鳥取から中堅リーダー来伯

2006年12月1日付け

 鳥取県が実施する「中堅リーダー交流事業」で、今年は県から青木斉さん(50)、中尾和則さん(44)の二人が来伯した。二人は滞在中、サンパウロ市はじめ各地を訪れ、鳥取の伝統芸能、文化を紹介した。
 一行は十一月十六日から二十七日まで滞在。期間中はサンパウロで鳥取県人会関係者と交流したほか、ミランドポリスの第二アリアンサ移住地(鳥取村)やリオ、サルバドールなどを訪問。青木さんは鳥取県東部に伝わる伝統芸能「麒麟(きりん)獅子舞」を、中尾さんは同県用瀬町に伝わる「流し雛」を、ビデオを交えながら紹介した。
 麒麟獅子舞は鳥取市周辺だけに伝わる獅子舞で、一本角のある面が特徴。六人一組で演じられる。神社の祭礼行事として続いてきたもので、各地に伝わる面の形も様々。百四十種類に上るという。
 「因幡麒麟獅子舞の会」会長をつとめる青木さんは獅子舞歴二十五年。これまでにも韓国やベトナム、ニューヨークなどで公演してきた。
 祖父母がブラジル移民という青木さん。「話は聞いていたので遠くは感じていなかった」という。「アリアンサやサンパウロのホームステイ先でも暖かく迎えてもらいました。帰ったらすばらしい(県人会)活動をやっていることを伝えたい」と感想を話す。
 滞在中には叔父や従兄弟なども訪問したという。今回は一人のため実際の舞いは披露できなかったが、「二〇〇八年にはブラジルで麒麟獅子舞を紹介したい」と意気込みを話していた。
 「流し雛」は鳥取県東部の用瀬町に残る伝統行事で、旧暦の三月三日に、町内を流れる千代川に紙雛などを乗せた桟俵(さんだわら)を流し、無病息災を願うもの。中尾さんは「特に女性の関心が高かった。『作ってみたい』という人もいましたよ」と訪問先の反応を振り返る。
 鳥取地球人クラブの代表でもある中尾さんはこれまでに、世界六十カ国を訪れたという。現在は、同町公民館主事の傍ら、県の社会教育指導員として各地の小中学校を訪れている。
 県とブラジルとの交流は知っていたが、「ブラジルの日系社会が実感として分かってきました」という中尾さん。滞在を振り返り「帰国後は報告会や小中学校でブラジルの事、日系社会が根付いている事を伝えていきたい」と語った。
 鳥取県の中堅リーダー交流事業ではこれまで、ブラジルから二回派遣員が訪日。鳥取県からの派遣は今回が三回目になる。加藤恵久県人会長は、「今回は若い二人に来てもらってよかった。日本に帰ったら、彼らがブラジルに来て思ったことを伝えてほしい。それがさらなる交流につながれば」と期待を表わした。