ジウマ政権発足時に発表された経済活性化計画(PAC)11件中、期日内に終るのは2件のみで、諸経費は当初予算より46%増と20日付エスタード紙が報じた。
11件のPACは皆、年内完成の筈だったが、期日内完成は、10月に稼動し始めたアマパー州サントアントニオ・ド・ジャリ水力発電所と、12月に稼動開始予定の同州フェレイラ・ゴメス水力発電所の2件のみだ。
未完成となる事業の中には、サンフランシスコ川の疎水工事と、ペトロブラスを巡る疑惑の一つであるペルナンブコ州のアブレウ・エ・リーマ製油所建設が含まれる。これら2事業はルーラ政権時代からの持ち越しだ。また、事業の遅れは経費の増加を招き、当初予算376億レアルは549億レアルにと173億レアルも膨れ上がった。
サンフランシスコ川の疎水工事は北東伯の水不足解消の切り札とされ、東側ルート220キロは2007年に着工した。ルーラ政権はこのルートの完成を2010年としていたが、未完成のまま現政権に委託。現政権は完成は今年12月19日と再発表していたが、現在は、最も楽観的な観測でもペルナンブコ州に水が届くのは2015年12月とされている。
企画省は同計画の遅れの原因として再入札が必要となった事などを挙げているが、同河川では排水処理施設建設の遅れも指摘され、パルナイバ川の施設と共に完成予定は15年末に延期された。
国道の改修も遅れ、10月に完成予定だったペルナンブコ州内の101号線199キロ分も15年末完成の予定だ。19日付エスタード紙には、過去10年間に国道を使う車の量は122%増えたのにアスファルト化された部分は13・8%増えただけで、2010~14年は5・8%増に止まる事、状態が良好な国営道は32・4%で、民営部分の75・7%と大きな差が出た事などが指摘されている。
国道を始めとする幹線道路の不備は物流経費を26%押し上げ、経済成長を妨げる要因となる。現政権が打ち出した陸水空の物流改革案は入札や工事が遅れ、期待された効果が出ていない。
エネルギー部門もマット・グロッソ州テレス・ピレス川のコリーデル発電所の稼動開始が15年12月に延期された他、アブレウ・エ・リーマ製油所完成は16年12月末に延期されている。
企画省では、期限内完成の2件は民間企業の担当で、未完成で終る9件中の4件は連邦政府、5件は州政府が責任を負う事業だと説明。全ての責任が連邦政府にある訳ではないと釈明している。
PAC事業は前政権時代から、工事の遅れとそれに伴う経費の増加を繰り返しており、現政権でもその状況は不変または悪化したといえそうだ。