先の臨時総会で正式名称を変更した、ブラジル日本文化福祉協会(上原幸啓会長)の理事会が二十七日晩、同会議室で行われ、来年度からの会費値上げ、二〇〇七年度予算の審議、会長を首班とする財政再建推進委員会の設置などが話し合われた。十月末までの収支が約十一万レアルの赤字になっていることが報告され、財政建て直しに関する議論などが交わされた。
「このまま(赤字)のまま明らかにしましょう。大事なことは、この現実をしっかり踏まえ減らすための努力を進めること」と上原会長は考えを述べた。
十月までの収支は、収入が百六十五万レで支出が百七十六万レとなっており、差し引き約十一万レの赤字が計上され、十二月の評議員会にそのまま報告することが決議された。
昨年末の評議員会では〇六年度予算案が最初から赤字会計だったために、一部から強い批判を受けた。来年度の予算案こそ黒字だが、十月時点の収支が二桁の大幅赤字になることは予測されていなかった。
赤字になった主な原因は、四百万レ以上といわれるINSS罰金問題を解決するために、国家社会福祉審議会(CNAS)への慈善団体再登録を専門の業者を通して進めており、その費用が十万レ以上かかっている点だ。
文協の存続にかかわる大問題だけに、例え赤字会計になっても対策はおろそかにはできず、次の評議員会で理解を求めて承認をうけるべく、しっかりと説明していく方針を確認した。
文協ネット委員会が予算収入ゼロで実際には約六万レの出費をするなどあったが、会計理事らが中心になって徹底的に無駄使いを抑えたため、支出は予定より十四万レも削減された。ただし、収入も二十七万レが減少した点も気になるところだ。
承認された〇七年度予算は収入約百七十八万レ、支出約百七十七万レ、残高約一万レ。厳しかった今年よりさらに七%減の縮小財政となっている。
赤字財政を補填するため、現在百二十レの年会費を来年から百四十レに引き上げることも決まった。インフレ率以上の値上げとなったことに対し、理事の一部から年金の調整率以上は望ましくない、との意見もあった。
半数が年会費滞納?!
現在、約三千人いる会員の半分が会費を滞納していると事務局からの報告があった。〇四年の会長選挙で一千人の新入会員があり、うち三百人は選挙後に退会したが、残った七百人の半数以上が滞納という状態のよう。
滞納会員に会費支払いを呼びかける書面を郵送するなど、滞納者を減らす取り組みを始めており、今後も推進することが申し合わされた。
会長をリーダーとし、副会長や財務担当者が入った財政再建推進委員会の設置も決められた。
また、今までは委員会ごとに別々だったが、今後は一律に収入の一五%を本部管理費として総務委員会が徴収することになった。
ニッケイ新聞の取材に対し同事務局では、三十日から始まる文協支援美術工芸展の売上げ半額、十二月十三日の文協支援晩餐会で七万レの収益を見込んでいるほか、評議員会で許可されたサンロッケ市(約十万レ相当)や旧コチア小学校(約三十万レ)の土地の売却益も入る見込みであることを明かし、年末までには赤字を補填し、加えて記念講堂の改修工事の費用に当てられるのでは、との見通しを語った。
最後に、上原会長は「私が日伯文化連盟の会長だったときも財政難だったが立ち直らせた。文協でもそれを繰り返さなくては」と理解を呼びかけ閉会となった。
予算や収支報告などの採決事項は、十二月九日の評議員会で再び図られ、最終決定される。
10月末で赤字約11万レ=文協理事会=INSS問題が影響=晩餐会等で帳尻合わせ=来年度予算も緊縮型に
2006年11月29日付け