【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】ファベーラ(貧民街)の人口が年々増加しているにもかかわらず、政府の改善策が一向についていかず、野放し状態になっていることで、関係者から改めて非難の声があがっている。
ブラジル地理統計院(IBGE)によると、二〇〇〇年時点で全国のファベーラの人口は約六五〇万人で、一九九一年と比べ四五%増となった。これは他の階層の人口増加率の三倍。一九九一年の総人口一億四六八二万五四七五人に対し、ファベーラの人口は四四八万二六三七人だった。これが二〇〇〇年では一億六九八七万二八五六人に対し、六五三万五六三四人となった。
この期間、人口が一五・六五%増だったのに、ファベーラの人口は四五・八〇%増を記録した。サンパウロ州では一一七万九三九六人から一六七万八三七二人へと推移した。リオデジャネイロ州では一一二万九一九七人から一二四万八〇九一人へと増加した。
いっぽうで行政の住宅振興策は年々減る一方で、二〇〇四年で全国の市の八一%が住宅対策に取り組んだが、二〇〇五年には六七・五%へと減少した。地域別に見ると、北部が七三%から六一・二%、北東部が八四%から七一・八%、南東部が七七%から六二・九%、南部が八〇%から六六・五%、中西部が九四%から七六%に減少した。
またNGO団体によると、全国四三〇〇万世帯のうち、三分の一が上水道などの完備されていない住宅にもかかわらず、国庫住宅基金が今年の一〇億レアルの予算から来年度は半額以下の四億六〇〇〇万レアルに削減されるとみている。さらに国連の発表によると、ブラジルの非合法住宅の住民は五一七〇万人に及び、世界でインド、中国に次ぐワースト3に指定されている。
国内最大のファベーラを抱えるリオ市は一九九四年、ファベーラ区画導入計画を打ち上げて注目された。国連ではモデルケースとして惜しみない賞賛をおくった。
しかし計画は頓挫した形となり、現在は実行されていない。当初は託児所やレジャー・スポーツセンターなどの箱ものが建設されたにとどまった。住民は肝心のインフラ整備、路線バスの乗り入れ、雇用の増大や所得の安定などが実施されないことから、生活の向上につながらないと指摘している。
サンパウロ市の公営住宅計画もリオ市と並び国内二大プロジェクトとして注目された。これは十二年前、時のマルフ市長が手がけたものでシンガポール計画と名付けられた。ファベーラ住民を集合住宅に収容するもので、これまでに一万六六一四室が建設された。しかしこれも建設後は修理が行われず、荒れ放題となっている。市当局は家賃五六レアル(時価相場では三〇〇レアル)の超安価であり、修理は自己負担と主張している。
年々増えるファベーラ人口=他階層の3倍の速さ=行政の住宅政策は逆に減る
2006年11月28日付け