【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】ルーラ大統領は二十二日、労働者党(PT)とブラジル民主運動党(PMDB)の連立政権発足に向け、協定案を提示した。大統領は七カ条からなる具体案をテメルPMDB党首へ手渡し、両党の連立政権は大詰めを迎えた。新政権は政治改革と税制改革を至上課題とし、経済成長率五%を達成、そのために両党議員で構成する政治諮問委員会を設立する。PMDB執行部は二十八日までに提案を分析し、三十日に正式回答する。新政権の組閣は二〇〇七年、上下両院議長の選出後に発表となるらしい。
ルーラ大統領は、PTとPMDBの連立政権となる第二次政権発足で合意取り付けの感触を得たようだ。大統領がテメル党首に手渡した具体案は、「連立のための最低保証」といわれる言質である。一五〇人のメンバーで構成されるPMDB党執行部は、七カ条の具体案を分析する。
大統領は連立政権発足を歴史的事件と位置付けた。足並みの揃わない最大党のPMDBから全面協力を取り付けたのは、大統領にとっても思わぬ成果であった。大統領の包括的提案はテメル党首も乗り気にさせ、PMDB政府派と反政府派をも取り込む内容である。テメル党首は、これまでPMDBがいつも割れていたことで忸怩(じくじ)たるものがあった。
大統領が提示した連立政権の具体案は、一、国の発展を目的とした政治改革。二、段階的減税により投資を促す税制改革。三、経済成長率五%を達成するためのマクロ政策、通貨政策、財政政策の見直し。四、教育や保健、インフラ整備促進のため歳出の見直し。五。地方自治体行政の見直し。六、雇用創出と所得格差の是正。七、PTとPMDBの政治諮問委員会の設置。
PMDB執行部のメンバー一五〇人の召集は、不可能に近い。従って、正式回答は非公式的なものになるとテメル党首は告げた。特にPMDBで三位一体の神といわれるバルバーリョ下議とサルネイ上議、カリェイロス上院議長は、党執行部をいつも虚仮にした。党執行部が政府支持に賛同するなら、正式回答は不要と三人がいう。
PTとPMDBの連立政権が発足するなら、連立与党は議会で八〇%近くの議席を確保することになるとジェンロ憲政相はみている。これで安定した政権基盤に支えられると政府首脳は安堵している。役職も議席数に比例して広くPMDBへ明け渡される。
テメル党首は、PMDBが名実ともに政府与党の一角を成したと述懐した。これまでバラバラだったPMDBが、ようやく統一されたのも思わぬ収穫だ。大統領の七カ条具体案は、七つの餌をつけた釣り竿がPMDBの上に投じられたようなもの。PMDBの魚たちは、一斉に自分の餌に飛びつくことで頭は一杯だ。
今後起きる問題は、これまで甘い汁を独り占めにしてきたカリェイロス上院議長が、テメル党首と分け合わねばならないこと。PTへの合流に反対するPMDBの上議六人が、野党の上議三十二人へ合流する可能性があること。PMDBの一枚岩はまだ信用できない。伝統的にPMDBの三〇%は造反者だという。
120億レアルの減税発表=企業の投資促進=5%成長実現目指し=予算穴埋めは不透明
2006年11月25日付け