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日系人の活躍を実感=29回目の農業研修無事終了=兵庫県

2006年11月25日付け

 今年も兵庫県農業研修団の十五人が来伯、広大な土地と大自然におけるブラジルの農業研修を学んだ。一行は四日に来伯、二週間の研修を終えて帰国した。
 今年で二十九回を迎えた同制度。現在までに約四百人もの研修生が来伯。そのうちの約五割が農業に従事している。
 今年は県内の高校や大学で農業を学ぶ若者のほか、「ブラジルで学び得た結果を早く出してもらいたい」といった県からの要望により、〃即戦力〃になるべく現役の農業従事者も加わっての研修となった。
 期間中は、昨年に続きポンペイア西村農工学校での研修をはじめ、パラナ州マリンガでは近郊農場を見学、ホームステイも経験。クリチバ、ポンペイア、マリンガ、イグアスに滞在した一行は、パラナ州知事、クリチバ市長、マリンガ市長の表敬訪問も行った。
 今年のテーマは「挑戦・感動・感謝」。田中哲団長は、「研修生たちが開拓者の精神を学び、ブラジルの大自然に感動し、こういった(研修の)機会を得たことに対して周囲へ感謝の心をもつことを学ぶことが目的だった」と話す。そして「青い空と赤い土でブラジル人のはじける笑顔に感動しながら、日本人が忘れかけていた精神を学んだ。ブラジルで成功されている日系の方々をみて生徒たちも誇りに思ったのではないだろうか」と感想を語った。
 日本とは異なりブラジルでは大豆を蒔く時期に研修する機会を得た生徒たち。
 「ブラジル農業の規模の大きさには驚いた」と話すのは実際に農家で働く原田和直さん(24)。エタノールの元になるサトウキビを生産している農家を訪問し「環境面も考えた農業」が印象に残ったという。
 日本では水稲栽培を専門に学んでいるという大学生の梅田和琢さん(24)は、「何千ヘクタールもある土地を見て衝撃を受けた。その土地を人間が切り開いてきたんだと目で見て実感した。日系人の活躍がうれしい」と研修に満足した様子で話した。
 例年に比べると、今回の研修は天候にも恵まれ快適に実習ができたという、体調を崩す生徒もなく研修を無事終え、一同は帰国した。
 尾西貞夫ブラジル兵庫県人会会長は、「こういった良い経験を出来る制度は、これからも是非続けていきたい」と述べていた。