日本の私立大学も合併と再編・統合の時代を迎えた。慶応義塾と共立薬科大学が合併協議に入ることで合意したのは、そんな背景を物語るものであろう。今や「大学全入」となり私立大学は568校もある。だが、地方には経営不振に陥っている大学・短大も少なくはない。しかも、今春の入試では私大の4割が定員割れしたという衝撃的な調査報告もある▼慶応に合併を持ちかけたのは共立薬科だったけれども、これには今年度から「薬学部は6年制」となり、入学を希望する人が少なくなっているの事情も大きい。名門・共立でさえも昨年に比較して志願者が14%も減っている。6年制になれば実習や研修の課題も増えるし、もはや単科大学では苦しくなるの見通しもあったに違いない。恐らく、こうした流れは続くはずだし、私立大学の合併・統合は進む▼国立大学に限れば東京商船大と東京水産大、富山大と富山医科薬科大が合併しているし、大阪大と大阪外語なども来秋に一緒になる予定であり100あった大学が87になっている。合併に対して私立が踏み切れないのは、創立の精神とか名誉などが絡むのかもしれないが、高齢化と少子化をも重く見ることが大切なのではないか▼大学と短大の入学者は93年の81万人が頂点であり今年は69万人に落ちている。昨年から人口減少に入っており、この傾向は余ほどの奇跡でも起らない限り続く。もう「大学を作れば儲かる」という話は去った。ちょっと極論になり異見もあるだろうが、数は減ってもきちんとした授業と研究が可能な大学が私立では200もあればいいのではないか。 (遯)
2006/11/25