ユーモアは生活の知恵=数多いメリット=良好な人間関係を築く=脳を刺激、免疫力作る
2006年11月22日付け
【ヴェージャ誌一九八二号】ブラジルではユーモアとは生活の知恵であり、身だしなみと同じという。ユーモアは容易に分かるが、是非の判断は困難だ。ユーモアが生み出す笑いに、幸福感をもたらすものと苦笑の二種類がある。精神分析学の権威フロイドは、ユーモアを人間が自己防衛のために考え出したメカニズムだと定義した。ユーモアによって人間は、自分の精神状態をコントロールしているらしい。ブラジルで生活するために、ぜひユーモアのメカニズムを習得しよう。
ユーモアには四つの顔があって、単なる意識の表現ではない。他人を傷つけるもの、周囲を巻き込んで愉快か不快にするもの、自分から道化役を買うもの、常に自分を慰めるものの四つだ。ブラジル社会では、こうして人間関係が形成されてゆくらしい。
自分のユーモアが、どのタイプに属するか検討する必要がある。グループを統率するにもユーモアは、命令や圧力をかけることなくメンバーのやる気を起すので格好の武器になる。しかし、その後が大切である。ユーモアはよいが、口先で格好をつけたと批判される危険もあるからだ。
意地悪な上司批判をジョークで話すと、多くの人から共感を浴びる。しかし、必ず密告者がいるから要注意。知らない間に反乱の頭目に仕立てられていることもあるから、時と場合によってユーモアと違い、ジョークは危険である。
ユーモアは本人の健康にも影響する。否定的と肯定的では、脳の刺激による新陳代謝の働きが異なる。肯定的ユーモアは左脳の発達を促し、免疫体質を形成する。ユーモアの下手な人やユーモアに無縁な人は否定的部類に属する。
自分の話したユーモアが、どう受け入れられたのか反省する必要がある。ユーモアは、ブラジル社会で良好な人間関係をつくるための手段とされる。場合によっては、素晴しい人生のチャンスをももたらす。営業では売り込みの場をつくるユーモアができないと大損をする。
ユーモアを含めた小話は直接話法よりも、いいたいことがよく伝わる。特に政治や宗教、セックスなど微妙なテーマには、小話形式のユーモアが有効である。異性を口説くにもユーモアは重宝である。成功したらおめでとう。失敗しても浅い傷ですむ。
ユーモアで話しかければ、話が中断しても後を続けられる。第一歩を笑って別れれば、ドアは再挑戦のために開かれているのだ。投げたボールが的を外れても、ユーモアがカバーしてくれる。バツが悪ければ、あれは冗談だといってごまかせる。この手はいやな上司にも使える。
上司は部下よりも、ユーモアを四〇%も多く使う。上司のユーモアはほとんど、皮肉か批判をオブラートで包んだもの。部下にはまたかとウンザリものだが、面白そうに笑わねばならない。夫婦でもユーモアや冗談が好きなカップルは、性格に欠点があっても離婚には至らないらしい。
レナタ・ポリアナさん(22)は幼児の時に大火傷し、肉体的ハンディのある人生を送ることを余儀なくされた。肯定的面だけを見るように努め、明るいユーモアを撒き散らすことで、現実の悩みを超越し、達観する哲学を習得したという。