【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十七日】ケニアのナイロビで開催された国連環境会議でブラジル代表は十六日、二〇一二年から始まる京都議定書の第二次二酸化炭素(CO2)削減計画にブラジル政府が参加する意向を表明した。ブラジルは途上国として第一次計画のCO2削減義務目標達成を免除され、自発的協力も避けてきた。気象の変化が深刻な事態に至っていることで、同環境会議では非協力国を環境保護の妨害国視する傾向が見え始めた。ブラジルのシウヴァ環境相が森林保護基金立ち上げを提案したが、会議参加者から無視され、質疑もなかった。
ブラジルは国連環境会議で、時代に逆行し会議進行の妨げとなる「時代遅れの国」に指定されそうになった。ナイロビのテレビ番組では、カナダが時代遅れの代表国として大々的に報道され、面目を失った。ボヤボヤすれば、ブラジルも二番手に引き出されかねない雰囲気であった。
マリーナ・シウヴァ環境相が提案した森林保護基金の設置は、先進国が資金を提供、途上国が森林伐採を防止する代償として基金から保障金を受け取るというもの。シュワルツェネガーが未来からのエクスターミネーターなら、ブラジルは地球環境エクスターミネーターだと訴えた。しかし、提案は全く無視された。
ブラジル政府は、先進国が地球温暖化防止に努め、ブラジルは義務として負担する意思のないことを主張していた。しかし、京都議定書の九条に謳われた段階的CO2削減計画で、傍観者的ブラジルの態度が槍玉に上がった。
京都議定書の見直しは二〇一二年となっていたが、事態が緊急を要することで二〇〇八年の見直しが求められた。二〇〇八年は、各国に義務の履行を要求する年である。国によっては地球環境を垂れ流し的に汚染し、環境改善に協力の意思が全くない国もある。
ブラジル外務省のフィゲイレード環境代表は、見直しが非協力国を看過したざる漏り京都議定書にならないことを求めた。それがないと、第二次計画は絵に描いた餅である。京都議定書は過去一五〇年間に大量のCO2を排出した先進国が、二〇一二年までに排出量を目標内に留めることが人類の責任だとしたが、責任感が一様でないと不合理な実体を訴えた。
京都議定書は先進国のCO2排出を対象に作成され、途上国は削減義務から免除されている。しかし、途上国もCO2削減に協力するよう、ブラジルの出方が注目された。それで二〇一二年の第二次からという意思表示になった。
ブラジル政府が動かないと、中国やインドなど環境汚染の元凶が協力しない。そればかりか中国は将来、環境改善の妨害者になりかねない。そのような国際環境の中で、ブラジル政府のあわよくば的態度は批判の矢面に立たされた。
シウヴァ環境相の腹心といわれるアクレ州のヴィアナ知事は、ブラジルが中国やインドを従えた環境改善の旗手になるべきという。これまで世界の隅に隠れた傍観者の時代は終わったと見る。ブラジルの森林伐採防止の代償として、先進国にCO2削減目標を引き上げるべきだと訴えた。基金の設定は物乞いではなく、森林保護努力に対する当然受けるべき報酬だという。
京都議定書にブラジル参加へ=第2次計画から=森林保護基金設置を提案=傍観者的態度翻す
2006年11月18日付け