【フォーリャ・デ・サンパウロ紙八日】留任が決まったセウソ・アモリン外相は七日、ルーラ第二期政権の外交政策を説明した。産業界が期待した二期政権での対米・EU関係の修復には消極的な意向であり、IBAS(インド、ブラジル、南アフリカ)を核とする南部同盟の結束に重点を置く意向だ。
メルコスルはブラジルの足元であり、その強化が最優先課題。メルコスルはベネズエラの加盟で地理的にも経済的にも拡大し、一目置かれる存在となった。一方では、ブラジルの存在が政治的に縮小したとする見方もある。
ウルグアイとアルゼンチン国境の製紙工場問題では、ブラジルは何もできなかったのも事実。結局、スペイン王が問題の解決に乗り出した。外相によれば、遠くにいる人間がケンカの仲裁に入るのが理想という。どっちに転んでも、トバッチリは少ない。
ウルグアイ政府は、ルーラ大統領がモンテビデオで開催されたイベロ首脳会議に出席することを期待していた。その会議でルーラ大統領による鶴の一声をウルグアイは期待した。メルコスルにおけるルーラ大統領の政治的立場は、それだけの影響力があった。
しかし、ルーラ大統領は会議を欠席。そして、お鉢はカルロス王へ回った。小国ウルグアイがブラジルに製紙工場問題で助けを求めたことに配慮すべきであった。ブラジルはウルグアイに対して、いつも冷たかったと反省している。
ところが、ここで問題が起きた。ドイツがウルグアイとパラグアイとの間で、自由貿易交渉を始めたのだ。それに対しブラジルはメルコスル協定を盾に、なぜ抜け駆けをするかと難癖をつけた。ブラジルの態度は大国のエゴとしかいいようがない。ブラジルには痛し痒しの問題である。
南部同盟もよいが、北部同盟はどうなっているのか産業界の疑問である。外相は非公式接触があるという。産業界は政治的関係に関心はないが、通商関係の強化についてブラジルの外交政策に抗議した。特にブラジルが、FTAA(米州自由貿易地域構想)に力を入れていないことを非難した。
ブラジル外務省がイデオロギーの相違で米政府と対峙していることにも産業界は不満を抱いている。ブラジル側代表のギマランエス大使の交渉力不足も指摘された。対EU交渉は六日、リオデジャネイロ市で始まった。外相が対米EU交渉は疲れると述懐。対南部交渉は、トントン拍子に進むのにだ。
どうなる2期目の外交政策=外相「北との交渉は疲れる」
2006年11月15日付け