聖南西教育研究会(原たずこ会長)主催の聖南西お話学習発表会が十月二十二日、コロニア・ピニャール文化体育協会の会館で行われた。
午前九時からの開会式でUCES(聖南西文化体育連盟)会長の森エリオさんは「ブラジル日系社会の日本語教育界の環境は難しくなってきていると聞いていますが、このように盛大にお話学習発表会を開催できることをうれしく思う」とあいさつした。
地区の日本語学校九校から代表者三十六人が参加し、お話の発表を行った。生徒代表者はみな緊張した面持ちで出番を待っていたが、本番では堂々と元気な発表を行った。
代表者は七歳から十六歳と幅広く、日本語能力も様々。発表の題材も本から選んだ話や作文など自由だった。作文を発表する生徒からは、曾祖母の移住体験や「スポーツが好きになれた私」「環境問題」など様々なテーマで、各々の思いのよく込められた話が発表され、聴衆は時間を忘れて聞き入っていた。
午後は出し物の部で、十五の発表があった。笠戸丸から始まるブラジル移住についての変遷を題材にしたバルゼン・グランデの劇、コロニア・ピニャールの全校生徒参加の劇、日本語の中の外来語を題材に面白く演じたピラール・ド・スールのコントやイビウナ、グアピアラ、サンミゲル・アルカンジョなどの歌・笛など内容も豊富であった。
その中でも一際大きな拍手を浴びたのがYOSAKOIソーラン。今年発表したのはピラール・ド・スールとピエダーデの二校と、昨年の四校に比べると少なかったが、楽しみにしている人も多く、台所で働いていた地元の婦人達も演技が始まる時には会場に集まっていた。両校の踊りはこれまで継続して練習しているだけあって見事にそろっており、その躍動感溢れる振り付けに、昨年以上に素晴らしいとの声が聞かれた。
生徒達や訪れた父母は普段見ることができない他校の出し物を、楽しそうに見ており、最後は会場の全員で「世界に一つだけの花」を大合唱し、会場全体が多いに盛り上がって出し物の部の最後を飾った。
また会場内には、絵や毛筆や工作など各校生徒の作品が展示され、日本語以外の学習発表の場となっており、昼食や休憩時には多くの人が鑑賞していた。
閉会式では、お話の代表者の表彰式、続いて八月に行われた聖南西作文コンクールの学校代表者の表彰式が行われ賞状と記念品が贈られた。式終了後には、その作文コンクールの全作品を掲載した作文集「みらい」が各学校の作文コンクール参加者に配布された。
お話の学習効果を残しつつ、多くの生徒たちが参加して交流できる楽しい行事に──という教師の新目標のもと、新しくなってから三回目を迎えた今回のお話学習発表会。
JICAシニアボランティアの加藤眞理さんは「何かを変えて結果が出るのは三年から五年はかかるが、以前のように一日中お話のコンクールだけを行う形式からこのような形式に変えてよかったと思う」と感想を述べ、このお話学習発表会に自信を深めた様子。お話だけでなく、まさに日本語学校のあらゆる学習の発表会であった。
聖南西=盛りだくさんの発表会=お話や学習成果次々に
2006年11月8日付け