【エスタード・デ・サンパウロ紙十一月三日】ブラジル空軍省は十一月二日、ブラジリア空港を始めとする国内主要空港で発生した航空管制トラブルに介入するため、空軍の管制要員一四九人に非常召集を発令した。主要空港の過密運行と離着陸の遅れが一向に改善されず空港の接客業務は二日午前三時、事実上の停止状態となり、堪忍の緒を切った乗客が逆上するなど国内航空史上空前の混乱に陥った。空港内ロビーは乗客による抗議の坩堝となり、身の危険を感じた空港職員は武装して対応。ルーラ大統領は、空港の事態収拾に労働相を急遽派遣した。
六〇〇便欠航というブラジル航空史上では最悪の事態が二日午前三時、発生した。乗客の中には空港ロビーに一六時間も待機させられ、空港職員に手を出す者もあった。空軍省は非常用の管制要員全員に非常出勤命令を下し、指示に服さない要員は営倉送りとする旨通告した。
ブエノ空相は二日午前三時、ブラジルの上空が制空管制マヒで真空状態となったことから、首都に待機する空軍特殊部隊の航空管制要員に非常出動命令を下した。かかる事態で命令に服さない要員は、空軍軍法会議で裁かれるという。
要員は全員が、軍曹以上の空軍下士官である。召集を受けた要員は通常勤務を離れ八時半、有給休暇中の要員も休暇を返上して空軍省会議室へ集合、配置指令を受けた。
サルヴァドール市で休暇中の大統領は、空軍省の配慮に理解を示した。空港管制塔が管制要員の一人舞台になっていることは、国家の治安上適切でないと考慮した。また管制要員が管制塔をタコツボだと、マスコミに不平をいっていることを大統領は耳にした。
ピーレス国防相は三日午前、空相と会談。午後は空港インフラ公社(Infraero)のペレイラ総裁と民間航空管理庁(Anac)のズアナジ総裁と会合し、空港管制システムの改善と混乱責任者の処遇について話し合う。
空相の予測では、非常要員との共同作業で通常復帰は、五日以内と見ている。ブラジルが抱える空港管制の問題は、マスコミが報道しているようなことではないと空相は述べた。航空機の運行システムを改善し、航空会社が一時期に集中する集客の過重負担を避ければ、空港管制の問題は解決されるというのだ。
ピーレス国防相のもとには、非常要員の到着で管制塔現場に重苦しい空気が漂い、通常要員がストレスを起していると報告があった。離着陸の遅れは、空軍軍規によれば責任を問われる重大ミスである。管制機器の不足と現場要員の過労スケジュールは再々報告されたが、空軍上層部が握り潰した経緯がある。
ルーラ大統領は、ブエーノ空相の非常召集に理解を示したものの営倉送りは少し酷ではないかという。大統領はマリニョ労相に命じて、管制現場の事情を見て来いと頼んだ。TAM航空機の離陸が、Gol航空よりも優遇されているという妙な報告もある。
空港ラッシュに空軍介入=特殊部隊に出動命令=堪忍の緒を切る乗客=ブラジル制空管制がマヒ状態に
2006年11月4日付け