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「福祉会館を提供して」=東京の天野氏が画策か=聖南西連が外相に嘆願書=「初耳」と百周年協会=援協「ありがた迷惑」

2006年11月4日付け

 日系人福祉会館をブラジルに住む日系人、および日本人に提供してください――。日伯議員連盟会長でもある麻生太郎外務大臣宛てに先月二十六日、聖南西文化体育連盟(森エリオ会長)傘下の二十四団体が連名で嘆願書を送っていたことがニッケイ新聞の取材で分かった。サンパウロ日伯援護協会が「福祉センター」の建設を予定しているサンパウロ市リベルダーデ区ファグンデス街の土地に〃日系人福祉会館〃の建設を百周年事業として日本政府に要望するもので、国際協力財団の神内良一理事長にも送付している。文書を作成したコロニア・ピニャールの山下治氏(前福井県人会長)は、東京在住の天野鉄人氏から幾度も依頼があったことを明かし、「軽率だったかも知れないが、援協の応援になればと思っている」と説明。援協の具志堅茂信事務局長は天野氏の行為に対し、「本当のありがた迷惑。援協としては相手にしない方針」と厳しい態度を見せている。援協が取り組んでいるセンター建設に横槍を入れるような今回の嘆願書提出に懸念の声が上がっており、関係者に波紋を呼びそうだ。
 嘆願書では「日本政府と国民のお力を頂けたら、移民100周年の節目を日系人のみならず、ブラジルに住むすべての国の人が日本に対してより一層好感を抱くものと考えます」と政府に対し福祉会館建設の資金援助を訴え、「戦前戦後と遥かな海を渡って大地に根付いた私共をどうぞ忘れないでください」(原文ママ)と締めくくられている。
 文書には聖南西文体連傘下二十四団体の連名簿が付記されているが、森会長の署名はなく、ピニャール移住地の山下治氏(同移住地文協元会長)のものとなっている。
 援協所有の土地への会館建設に関し援協に何の連絡もせず日本政府に嘆願書を送付したことに山下氏は、「順序がおかしいのは分かるが、こういう動きがあることを伝えたかった」と弁明する。
 また、ピニャール移住地に図書館を建設した天野氏から再三の要請があったことを明かし、「毎日毎日電話とFAXをしてきて『時間がない、時間がない』ってせかすもんだから…。軽率だったかも知れないが、彼の熱意にほだされて書いた」と語った。山下氏によれば、この嘆願書送付については聖南西文体連の総会で承認されているという。
 同連合はブラジル百周年記念協会の副理事長団体となっているが、同協会への連絡はなく、頭越しに嘆願書を送った形だ。
 現在、予算・事業の見直しを図っている同協会の松尾治執行委員長は、「全くの初耳。(天野氏は)信用できない人間と思っている。彼の真意はどこにあるのか」とあきれ返る。
 「おかしなことになりましたなあ…。まとまってないという印象を与えてしまうのでは。非常にやりにくくなる」と対日本の今後の影響に危惧を表わした。
 「こっちが頼んでもないのにああしろ、こうしろと注文をつける。まともに相手にしたら、こちらがバカをみる」。
 天野氏への憤りを隠さない援協の具志堅事務局長によれば、同氏は援協が現在の土地を購入して以来、隣接する駐車場購入、「神内会館」の建設を主張するなど、事務局としても対応に困っているようだ。
 なお、現在、天野氏からFAXが毎日送られてくるという。
 「まずは自分が所有する(リベルダーデ区の)土地を提供してこそコロニアの賛同が得られるのでは。援協が援協の土地に立てるのに、色々指図してくるのは非常識も甚だしい。本当のありがた迷惑」。
 天野氏が今月二十三日に来伯するのを待って、「援護協会としての立場と事情をしっかり説明するつもり」と話している。