【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】ルーラ大統領が再選を決めたことで、外紙はどう見ているのか。ニューヨークのブルームバーグ市長は、PT政権の生活扶助制度は学ぶものが多いという。ルーラ大統領は低所得層一一〇〇万世帯に四〇ドルを配布し、児童は就学させ予防接種を施した。この貧困対策は、多くの国へモデル・ケースとして輸出されると称賛。
貧困層への喜捨が、汚職とスキャンダルを看過したというのが外紙共通の見方のようだ。就学という交換条件を設けた生活扶助制度は、ブラジルの歴史でも特記すべきことだと外紙は見ている。前政権が一九九〇年、同じことを試みたが成功しなかった。
決選での優勢な背景は、ルーラ二期政権の政治運営を有利に運ぶ。これからは野党との対話を優先し、支持票の買収工作や役職の大判振る舞いは不要と、大統領が発言したことをニューヨーク・タイムスは取り上げた。しかし、メディアの起用とイデオロギー無用の連立根回しに奔走する従来の選挙方式は続く。
仏紙ル・モンドは、財政黒字政策をソデにして経済成長を優先する第二期政権の政策に疑問を投げかけた。さらにブラジルに関する疑問は、ルーラ周辺でこれだけ多数の人間が、不正行為に連座し事実追及には知らぬ存ぜぬで押し通せることだと指摘した。前大統領が民主主義とは、選挙を勝てばよいというものではないといったが、一理あると疑問を呈した。
スペイン紙のエル・パイスは、ルーラ大統領が対話路線を宣言したことで、ブラジルはバラバラの政治から結束の政治に入ると見ている。伊紙コリエレ・デラセラは反対に、PTが掲げた倫理が地に落ちたことで国会はバラバラになり、議事進行が困難になる。選挙の勝利でスキャンダルが、帳消しになったわけではない。今後全ての政局運営で、PTの汚職体質が陰を落すと論評している。
再選に厳しい外紙の目=汚職の陰が祟る政局の行方
2006年10月31日付け