【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】国内の自動車メーカーは国内販売が好調に推移したのを受けて、経常収支が軒並み黒字あるいはトントンになる見込で、約一〇年来続いてきた赤字をようやく解消できる見通しとなった。
四大メーカーとくにGMとフォードは世界最大市場を抱えるアメリカ本社が、売行不振で経営危機に陥っている中で、ブラジルの黒字が連結決算で大きく寄与し、窮状救済の一助となっている。
今年の国内販売は回復の兆しを見せており、これまでの最高の一九九七年の一九〇万台に並ぶと見られ、二〇〇七年は二〇〇万台の販売新記録に達すると予想されている。これを受けて今年の生産は、昨年の二五〇万台を上回る二六〇万台を越えると見積られている。これがメーカーの収益を上げた原因となっている。
GMは国内販売のほか、ラテンアメリカ諸国、アフリカ、中近東などへの輸出で四〇%のシェアーを占め、今年一月から九月までの利益が三億九六〇〇万ドルとなった昨年の八七〇〇万ドルを大きく上回った。一昨年までは七年連続の赤字だった。
アメリカ本社の累積赤字が三〇億ドルに上がっていることから、ブラジル子会社は救世主的存在になりつつある。これについてGMブラジルは、国内販売の好調の追い風を受けて、高級車指向で利益確保に重点を置いている半面、コスト削減と為替差損の価格への転換が功を奏したと語っている。
フォード本社では累積赤字が七二億ドルに達したが、南米地区が唯一黒字を計上して気を吐いている。南米地区ではブラジル・フォードが七〇%を占めている。ブラジル・フォードの今年の黒字はこれまで四億五一〇〇万ドルになっており、一九九八年以来の黒字決算となっている。
フォルクスワーゲンは決算発表が来年初めになるが、ドイツ本社が先週決定した二五億レアルの増資による新モデルの発売で、八年振りに黒字転換が見込まれている。
国内シェアーのトップのフィアットは昨年五億一一〇〇万レアルの黒字を計上したが、今年は一三%増を予想している。イタリア本社の連結決算では五一〇〇万ユーロとなっている。
シトロエンも九〇年中ばからの操業以来、今年初めて黒字計上が見込まれ、ようやく赤字とオサラバだと喜んでいる。
自動車業界が好決算=10年来の赤字解消へ=本社窮状救済に寄与
2006年10月28日付け