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日伯関係は「最良の状態」=県連40周年=島内大使が記念講演

2006年10月25日付け

 【既報関連】二十一日に開かれた県連創立四十周年式典の会場で、島内憲駐伯日本国大使が記念講演を行った。テーマは「最近の日伯関係」。両国の政治経済や日伯関係の現状と見通し、二〇〇八年の日伯交流年、ブラジル日本移民百周年など多岐にわたり、自身の意見を交えながら紹介した。
 先月二十五日に着任した島内大使。八五年のタンクレード・ネベス大統領就任式の際に福田赳夫元首相(当時)の随行員として来伯して以来、ブラジルを訪れた回数は八回に上る。
 「ブラジリアが様変わりしたことに驚いた」と着任一カ月の感想を表わすとともに、「以前は『未来の大国』と言われていたブラジルが、現在は、政治、経済ともに主要国の地位を確立しつつある」と述べた。赴任前に日本の財界関係者と意見交換を行った際にも、「日本国内のブラジルを見る目が良い方向に変わりつつある」と感じたという。
 講演ではまず、二十年来停滞していた日伯両国の関係が、両国経済の安定、首脳の相互訪問を機に「再活性化の機運が盛り上がりつつある」と指摘。今年に入ってから閣僚レベルの往来が活発になっている点や、両国の経済関係が従来の一次産品や資源などから自動車や電化製品、ソフトウェアなどの先端技術など多様化しつつある点などを挙げた。デカセギを対象にした金融サービスの拡大、鶏肉やマンゴーなど食品加工の分野の成長にも言及した。
 現在大きな注目を集めているエタノールについては、「日本ではその話題で持ちきり」と話し、日本側で実用化に向けた官民レベルの交流が進んでいる現状を紹介。「課題はあるが、両国の協力は前進していると言える」と述べた。関連して、在伯日系自動車企業がフレックス車の投入を進めつつある現状が雇用創出効果をもたらすとして期待を表明。
 日本方式の採用が決まった地上デジタル放送規格に関しても、専門家ミッションの来伯、国内技術の発展が「ブラジル経済の多様化、高度化に貢献することを願う」と述べた。
 日伯関係の現状については、政治の実務レベルの対話も進むなど「今までで最良の状態」と表現。ブラジル経済については、「他のBrics諸国と比べ成長率が低いとの指摘もあるが、ブラジルが他国の成長を支えている側面もある」と述べるとともに、テロや宗教対立といった不安定要因を抱えていない点などを挙げ、「中長期的には日本のパートナーとしての潜在力を備えている」と語った。
 日伯の有識者が中長期的な両国関係について意見を交換する「日伯二十一世紀協議会」が今年七月にまとめた最終提言については、「内容のフォローアップが求められている」として、「政府としても実現のためできるだけ努力する」と述べた。
 二〇〇八年に控えるブラジル日本移民百周年と日伯交流年。大使は「日伯関係は、日本移民のブラジルでの足跡が基盤になっている」と話し、さらにブラジル社会の多くの分野で日系人が活躍している現状を評価。〇八年を「先人の軌跡を辿り、将来に向けた大いなる飛躍の機会」と位置付けた。
 交流年にあたり「日本政府も準備に着きつつある」と話すとともに「日系社会の活動もできるだけ支援したい」と発言。関連して「日本各地でブラジルへの理解を促進するため、県人会にも積極的に役割を果たしてほしい」と呼びかけた。