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先人の遺産を次世代に=県連=創立40周年を祝う=駐伯大使ら4百人迎え

2006年10月24日付け

 ブラジル日本都道府県人会連合会(松尾治会長)の創立四十周年式典が二十一日午前十一時から、文協ビル大講堂で開かれた。県人会関係者など約四百人が出席。先月着任した島内憲駐伯大使のほか、西林万寿夫在聖総領事など総領事館関係者、JICA、国際交流基金代表、日系市議なども来賓として訪れ、県連の節目を祝った。
 初代会長の中尾熊喜氏による初期移民の里帰り事業にはじまった県連の歴史。その後もイビラプエラ公園の開拓先没者慰霊碑建立、竹下登首相(当時)によるふるさと創生事業への参加、在外選挙権獲得運動、サントスのブラジル日本移民上陸記念碑など、独自の事業を打ち出し、実現させてきた。
 県費留学・研修制度は幾多の人材をブラジル社会に送り出した。八八年から続く「移民のふるさと巡り」は二十六回を数え、九八年にはじまった「郷土食・郷土芸能フェスティバル」は「フェスティバル・ド・ジャポン(日本祭)」へと発展し、ブラジル日系社会有数のイベントに成長している。
 松尾会長は、在伯移住者の権利擁護にはじまった県連が、現在ではフェスティバルに代表される交流事業なども手がけるなど、「歴代会長をはじめとする人々により日系社会で役割を果たしてきた」とあいさつ。さらに「ブラジル日系社会の動向も変わり、日本や母県とのつながりも徐々に希薄になっているが、その一方で五千人以上の県費留学研修生OBがブラジル各地で活躍している」と述べた。
 現在、連合会内の二世県人会長は十三人。会長は「この傾向は強まると思うが、原点は県人会と県のつながり」と強調、「これからも輪が広がり、交流が盛んになることを切望しています」と将来への期待を語った。
 日本移民百周年にも触れ、「一世紀にわたって築いてきた先人の遺産を埋もれさせず、次代に受け継いでいくことが私たちの使命」と協力を呼びかけた。
 島内大使は「相互の親睦を超え多岐にわたる事業を実施してきた県連は、コロニアになくてはならない存在」と称えた。さらに、「ブラジル社会の各方面で活躍する子弟が柔軟な発想で日伯の相互交流、発展に貢献してほしい」と語り、「各県人会がチームワークと行動力を発揮して活動することを祈念します」と言葉を贈った。
 この日は、全国知事会の麻生渡会長(福岡県知事)からも祝賀メッセージが寄せられ、西林総領事が代読した。
 来賓あいさつに続き壇上では、功労者の表彰と感謝状の贈呈。島内大使、西林総領事から歴代の連合会長に、その後、松尾会長から日本政府機関、日系団体、企業、日本の関係団体などに記念のプレートが贈られた。歴代の元連合会副会長、二人の元事務局長も表彰を受けた。
 表彰者を代表して西谷博元会長があいさつ。「これからも日系社会、県連にがんばって微力を尽くせという意味だと思います」と謝意を表わした。
 ケーキカット、鏡割りに続いて、サロンで祝賀昼食会。午後からは島内大使が「最近の日伯関係」をテーマに講演した。また記念のアトラクションとして、ロンドリーナの中川芳月さんが浪曲「上塚周平」を披露。開拓草創期の上塚植民地で不作のため苦しい生活を送る日本移民と、彼らのために尽力する上塚翁の交情を身振りを交え情感たっぷりに描く舞台に、客席から大きな拍手が上がっていた。