【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】大統領選の決選投票を一週間後に控えダッタフォーリャ社は十七日、ルーラ大統領がアウキミン候補に一二ポイントから二〇ポイントへ差を広げ独走と発表した。発表によれば、ルーラ候補がさらに四ポイントを加え、有効票の六〇%を押さえた。アウキミン候補は四ポイント下げ、四〇%に留まった。決選を目前にルーラ候補は一二ポイントも一次選に上乗せしているのに、アウキミン候補は一次選の得票数を下回る予想となった。ルーラ政権の評価は、良いと最良を合わせ四九%から五一%へ上伸した。
ルーラ大統領の支持率が、終盤で上昇した。所得や性別、年齢、学歴など全項目で、大統領は優勢である。特に全有権者の四四%を占める南東部で、アウキミン候補が伸び悩む中、ルーラ候補は地歩を固めた。これは一次選でエレーナ上議やブアルケ上議に入った票が、ルーラ候補へ移ったと見られる。
調査は全国三四八都市で、七一三三人に質問をした。アウキミン候補の決選持ち込みではヴェドイン調書が特効薬になったが、決選でハプニングがなければルーラ再選の可能性が高くなったといえそうだ。
アマゾナス州マナウス市に遊説したルーラ大統領は十七日、パウリスタ大通りしか頭にない人間にブラジルの政治を理解できないと批判した。ブラジルを理解するには、ストローではなく心であるという。
「アマゾナス州は、世界中の多種民族と先住民抹殺から逃れた少数のインジオが住むと、南部や南東部の人間は思っている」と、大統領は述べた。北部と東北部は南部と南東部とは別の国と思われたが、一つのブラジルに統一したのはクビチェック元大統領だという。
サンパウロ市には一握りのエリートがいて、ブラジルの北部や東北部は眼中にないと大統領は語った。エリートは額に汗をかかないで甘い汁を吸い、東北部の出身者を蔑視する。北部と東北部が見直されるため、東北部出身の大統領を選出する必要があると訴えた。
カルドーゾ前大統領が、ペトロブラスの大型化と資本調達で民営化に反対しないと記者団に述べたことが、不用意発言としてPSDB(民主社会党)内でひんしゅくをかった。柔軟性を持たせたと前大統領は弁解したが、アウキミン候補が民営化否定を叫ぶ中、誤解を生み与党陣営に逆用されたのは確かだ。
与党は、アウキミン陣営の努力を「あがき」と評した。アウキミン候補はだれも予想をしなかった決選投票を実現したことで、成せば成ると訴えた。PT(労働者党)政権は貧乏人の味方ではなく、銀行家の味方だと叫んだ。貧乏人の味方は、ググー(TV低俗番組の司会者)であるとジョークをとばした。
PTによる公社民営化の批判作戦は、成功したらしい。アウキミン候補は、浮動票の取り込みに失敗したようだ。アウキミン発言には、民衆の疑心暗鬼を払拭する殺し文句がない。アウキミン候補の選挙参謀も万策尽きた様子。テメルPMDB(民主運動党)党首が「調査結果にこだわるな」とハッパをかけるが、気合が入らないようだ。
「大統領選支持率調査」ルーラ大統領が大差独走=20ポイント差に拡大=ア候補、浮動票吸収に失敗=公社民営化批判で仇討ち
2006年10月19日付け