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◇コラム 樹海

 「子殺し」や「親殺し」が世を騒がせる昨今だが、「子は夫婦の鎹」の言葉もある。夫と妻にとって可愛い赤ちゃんは大きな夢であり、子育ての苦楽は、何事にも代え難い尊くも貴重な体験である。ところが、病気やその他の原因でどうしても子宝に恵まれないご夫婦も大勢いる。それでも―「子が欲しい」の思いは強く、近ごろは「代理出産」へと目が向く▼タレント向井亜紀さんと元プロレスラ―高田延彦さんも、そんなご夫妻だ。向井さんは子宮癌を患い子は産めない。そこで二人の人工授精卵を米国に送り代理出産を依頼し双子が生まれたのだが、日本では出生届の受け入れを拒否される。そこで裁判になり東京高裁は二人の訴えを認め区役所に「出生届の受理」と判決したが、法務省からの指示があって高裁決定への許可抗告を申し立てたので未だに決着はついていない▼そんなところへ今度は、母親が娘に代わって「孫」を代理出産したというので話題になっている。30代の娘は癌になり子宮を摘出しているが、50代の母親が娘夫婦の受精卵を移植して元気な赤ちゃんを産み落としたという。この代理出産については議論が多く、フランスやドイツでは禁止しているらしいけれども、アメリカは認めている。日本からの依頼もあり代理出産は100組を超すの新聞報道もある▼日本では「出産した女性が母」の意見が多い。しかし、アメリカの例を見るまでもなく「どうしても子どもを」の人はいる。そんなこともあって柳沢厚労相と高市少子担当相が、代理出産禁止の見直し論を展開しているのは、もっともであり真剣に論議を進めてほしい。(遯)

2006/10/19