【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十三日】ブラジル政界への女性進出が下院で四六議席と過去最高になったことが十二日、明らかになった。選挙高等裁の集計によれば、まだ増員の可能性があるという。下院五一三議席の九%に当たる四六女性議席は、前回の四二議席をさらに更新した。女性の政治熱が最も顕著なのは北部地方で、前回の八人から今回一三人を国会へ送り込んだ。これで国会の北伯勢は、二〇%が女性で占められることになる。党別ではブラジルの共産党が五人で、同党議員の四二%が女性という母系党である。
北部地方の女性有権者は少数派であるが、政治への関心はひときわ目立っている。彼女らの政治への熱意がなければ、国会での北伯勢は弱体化し政策審議では退歩を余儀なくされ、史上最高の女性進出もなかったと考えられる。
北伯勢の女性パワーに比して他地方の女性勢力は、年々退歩し風前の灯火と化しつつあった。ブラジル政界の女性パワー衰亡に、起爆剤を持ち込んだのが北伯の女性政治家らである。
国会内北伯勢による一騎当千の女性パワーは、他地方の三三人による女性パワーを尻目に、これまで真空状態にあった女性の地位に独自の成層圏を形成しつつある。国会内の女性勢力は、北伯勢抜きに語れない存在となりつつある。
北部地方は、南東部や南部地方の女性よりも職場進出や財源獲得のチャンスが比較にならないほど不利である。北伯の女性政治家は、数多の難関を突破して政界進出を遂げた豪者で、政治の造旨が欧米の女性政治家に匹敵するもの。
北部全般の女性は、他地方の女性に比して政治への関心は高い。アマパ州選出の議員八人は、男女同数である。上位四人は女性で占められた。アクレ州もロンドニア州も最高得票で当選を果たしたのは、女性候補だ。地方自治体の中枢部を男性で牛耳るアマゾナス州は、女性の声を届けるため女性が目覚めた。
しかし政党法が定める女性議員の上限三〇%には、まだ程遠い。北部地方は、投票数の四九・七五%を女性候補者に投じた。南部は五一・二二%を女性候補へ投じたが、四人しか当選できなかった。サンパウロ州の女性票は、僅か四・三%。
女性パワーは、党によって異なる。共産党は四二%が女性で、パワーが形成されている。女性が在籍する党は四つ、最もひ弱はPSDB(民主社会党)の三人で砕氷船的存在。PT(労働者党)は、前回の一二人から七人に減らした。
女性候補にとって先輩も後輩も、地方で知られる一族の苗字が重要である。当選した女性議員の半数は、著名政治家の妻か未亡人、または息女である。息女で親の七光によって当選した議員は多い。特に北部や東北部では、夫婦コンビを一心同体と見る慣習がある。妻は夫の半身として、全てを熟知するからだ。
東北部や北部地方は、一族が数代にわたり地方行政に携わる国父的存在の例が珍しくない。そのため族政治の弊害を免れない。保守的な族政治から新しい女性パワーが、生まれることを期待する動きもある。
北伯で女性パワー台頭=政界に新議員団形成=難関突破の女丈夫が新風を=欧米並みの政治力発揮か
2006年10月14日付け