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PT、不安増幅へ戦略変更=選挙は終盤の泥沼へ=前夜のなんでもあれを警戒=ア候補、ざん言作戦を非難

2006年10月12日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】大統領選の決選に備えルーラ陣営は十日、これまで温存してきたカルドーゾ前政権時代の公社民営化における不正行為を白日にさらし、本土攻撃と不安増幅へ戦術変更を決めた。またアウキミン候補は経済成長を優先するあまり、公務員削減や社会福祉事業のカットが実施されると吹聴、社会不安をかもし出す暗示作戦も行う。大統領は十日、アウキミン候補が現政権で築いた福祉国家を解体するとざん言した。PTの綱領立案者を招き、PSDBはブラジルの公立大学を外国企業へ売却するといわせた。
 決選に向けた攻略戦は、白熱化してきた。ルーラ陣営は十二日の公開討論会に備え関係者を招き、選挙前夜に闇討ちを受けた苦い経験の再発防止に備えた。大統領選を決選へ持ち込んだヴェドイン調書も、その一例。これまで何度もルーラ大統領は選挙前夜、不意打ちを受けてつまずいた。
 対コーロル戦の一九八九年選挙前の最終日、ルーラ大統領の女性関係をばらされ、若き日の過ちをテレビに流された。一九九八年はルーラ候補が、貯蓄貯金を没収と吹聴された。サンパウロ州工連のアマト会長は、ルーラ候補が当選したら八〇万人の会社経営者が国外へ脱出をすると脅した。
 ルーラ大統領は二〇〇二年、ブラジルをアルゼンチン化すると中傷された。今回はアウキミン候補が、二世紀かけて築いたブラジルを二分で打ち壊すと、大統領がやり返した。前回討論会ではダイナマイトを連発させたが、ハッタリに過ぎないという。PSDBが政権を取ったら、最低賃金を上げないと誹謗した。
 さらに、年金生活者を野垂れ死にさせる。自分のことを自分で解決できない底辺の弱者への生活扶助金は、中止するともそしった。その他,PT往年のライバル、デルフィン・ネット氏も招かれ、出席者とともにPSDBとPFL批判の合唱を奏した。
 PSDBとPFLは、PTの戦略変更がナチスの手法導入だと糾弾した。やり方が汚かろうと、勝てば官軍という考え方だ。PTは、次の討論会には、タップリ唐辛子を入れるらしい。一方、PTがざん言するような伯銀やペトロブラス、郵政公社、金融公庫の民営化はないと、アウキミン候補が訂正した。これは、ぶ告だという。
 生活扶助金はシステムを変更するが、中止はないとアウキミン候補は約束した。時代の波に乗れない人や時代のニーズが理解できないクラスのために、ブラジルでは富の再分配が必要である。生活扶助金は、その一部。富の再分配を行わないと、底辺の不満がうっ積され、はけ口を求めるに至ると見ている。
 公立大学の民営化はEUで立案されたボローニャ計画で、ブラジルとは無関係な話である。PTの関係者は何かを勘違いしているとPSDBはいう。アウキミン候補は、象牙の塔と化した公立大学の改革を提案したのだと述べた。
 アウキミン候補は、PTのキャンペーンをざん言以外の何物でもないと訴えた。ミナス州のネーヴェス知事も、決選ではアウキミン当選に賭けると誓った。ミナス州は、一三六〇万票を有するブラジル第二の票田である。七七%の得票で当選を果たした知事のサジ加減は重要だ。