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「共生」をテーマに=7日からビエンナーレ=日本からも3人が参加=サンパウロ市

2006年10月7日付け

 第二十七回サンパウロ国際ビエンナーレ(主催・サンパウロ・ビエンナーレ財団)が七日から、サンパウロ市イビラプエラ公園内のビエナル館(Pavilhao da Bienal・Ciccillo Matarazzo)で始まる。日本からも、国際交流基金の協力により、ベルリン在住のアーティスト島袋道浩氏と、建築家の塚本由晴、貝島桃代さんからなるユニット「アトリエ・ワン」が参加する。三人は四日、サンパウロ市の基金事務所で会見し、出品作品に込めた思いを語った。
 今回のビエンナーレ展は「どのように共生するか―How to live together」をテーマに、国内外から百二十人あまりのアーティストが参加。今回から、いままでの国別参加方式が廃止され、六人のキュレーターが作品を選定する形式に変わった。
 各国から招待された十人の芸術家がブラジルに一定期間滞在し、その中で作品を作り上げていく「アーティスト・イン・レジデンス」に参加する島袋さんは神戸出身。大学卒業後、アメリカで学び、現在はドイツのベルリンに在住。二カ月滞伯し、「七つの石の物語」と題した映像作品を制作した。
 同作品では、ブラジルの日本人移民がテーマとして取り上げられている。日本、世界からの移民がブラジルでの第一歩を踏み出したサントス。その海岸に流れついた七つの小石とともに、島袋さんがコーヒーファゼンダやサンパウロ州奥地など、移民ゆかりの土地を訪ね歩いた作品だ。
 毎日のようにセントロ、リベルダーデを訪れたという島袋さん。「ブラジルの人にも良く知られていない日系社会の姿。外国人の目で見たその姿を伝えたかった」と製作の動機を語る。
 「明石のタコ」が有名な兵庫県。島袋さんはまた、生きたタコとともに日本各地を訪れる作品も製作している。今回はその二作品も紹介。翻訳の代りにセントロの大道即興詩人(レペンチスタ)に節をつけてもらうなど趣向を凝らしたものになっている。
 九二年に設立された「アトリエ・ワン」は、塚本さんと貝島さんの二人による建築家ユニット。東京を中心に住宅建築などを手がけるかたわら、各国で開催されるビエンナーレなどでアート活動を展開している。
 「展示場から見える樹木の、いきいきとした緑に感動した」という貝島さん。「その木を会場に引き込みたいと思った」。展示場の外に見える樹木を利用して、ユーカリの木を材料に、会場内から木を渡りまた会場へ戻る道「モンキー・ウェイ」を製作した。
 イビラプエラ公園の日本館建築からも着想を得て、サンパウロ市に住む日本人の大工と協働して製作を進めたという。「ブラジルの街の皆さんにも楽しんでもらえると思う」と塚本さん。二人はこの作品のほかに、紙で作った巨大アーチ「Jambo Origamic Archi」なども出品する。
     ◎
 第二十七回サンパウロ・ビエンナーレは六日に開会式を行い、七日から十二月十七日まで一般公開される。会場は、イビラプエラ公園のビエナル館(ポルトン3より入る)。入場無料。開場時間は火曜から金曜が午前九時から午後九時、土日、休日は午前十時から午後十時まで。
 ウェブサイトは、www.bienalsaopaulo.org.br