就任したばかりの安倍首相が中国と韓国を訪問する。胡錦涛国家主席、 武 大統領との会談も決まった。中韓は小泉前首相の靖国参拝を嫌い首脳会談もこのところ開かれていない。アジア外交を重視する日本はインドやASEANとの連携強化に努めているが、中韓との関係がぎくしゃくしていては、機動的な動きは難しい。首相が最初の訪問国に難問を抱える両国を選んだのも、そんな理由からではないか▼ならば―靖国参拝はどうなのか。どうやら、玉虫色での解決らしい。次官級会談でも難航したが、中韓が首相の参拝自粛と解釈できるような「新提案」をし、日本側にも参拝するか否かの明言を避ける「あいまい戦術」を取るということのようだ。将に「外務官僚的な回答」なのだが、あるいはこれしかあるまい。日中韓にしても、今のような没交渉ではおかしいから兎に角―会って話そうではないかで決着をつけたのであろう▼日中の冷え込みについては、アメリカも心配し話し合いを求めている。勿論、日本としても隣国とは友好でありたいし、首脳会談は大いに歓迎する。特に今は―北朝鮮の核実験声明があり、周辺国の結束は欠かせない。中国は北朝鮮への影響力が強く、実験の阻止に向けての説得力もある。すでに警告を発してもいるし、安倍・胡会談でも重要な議題になるのは間違いない▼北朝鮮に友好的な 政権にしても、核実験となれば拱手傍観はできまい。ここでも自制を求める真摯な議論があるし、安倍外交の手腕が問われるところでもある。ここは若い宰相らしく鋭い切れ味を示してほしい。 (遯)
2006/10/07