【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】ルーラ大統領は四日、当選を決めたPT州知事七人と閣僚らをプラナウト宮に招き、政治倫理と汚職に関する党の綱領を討議し公開討論会に備えた。実戦体験を積んだ政府は、討論で国民の高い要求度に応える用意があるという。これまで難題中の難題として言及を避けてきた経済成長や社会福祉などのテーマを国民の前で論じ、アウトサイダーであった野党の虚を突く方針だ。また政府が闇討ちをされたヴェドイン調書の影響と背景、関与したPT(労働者党)党員の処遇、事後処置についても広く意見を求めた。
ルーラ大統領はこれまで、公開討論会をテテ・ア・テテ(低レベルのおしゃべり)として無視してきた。今度は問題の核心を突き、不意を許さぬ本格討論で挑む。しかし、全国民を騒がせ聴取者の関心事である裏金疑惑やヴェドイン調書が、主な討論の議題になると予想される。
大統領は、倫理と汚職を高次元で論じると述べた。「高尚な国民は、高次元の哲学を学ぶに値する。野党が低次元で論争に挑むなら、それもよい。誰もこれまで、解決し得なかったブラジルの経済成長と社会福祉について野党の話を聞かせてもらう」という。
一次投票で当選したPT所属の知事らは、異口同音に庶民との接触を大統領に勧めた。セルジッペ州のデーダ知事は、街頭に出て大統領の顔を見せることが庶民にとって最高の説得だと提言した。国民へ直に顔を見せることで心理的な効果は、絶大だという。
一方、PTはベルゾイニ党首の自発的辞任について、サンパウロ市で臨時幹部会議を召集した。同時にヴェドイン調書に関与した全党員の処遇も、PT倫理委員会で検討する。大統領は事件が党首の指揮で行われたのか疑問という。結果が悪いから責任を取れというのも、筋が通らない。
大統領は党首を呼んで内密に、できるだけ短時間に同事件をもみ消すよう要請した。決選の日まで出血が止まらないと、致命傷になる。TVバンデイランテは八日、公開討論会を予定しており、必ず同事件が引き出される。それまでに収拾するよう命じた。
連邦警察は、調書事件に関与したPT党員について証拠が一切ないと発表した。疑惑の党員らは草創期の大統領を引き立てた旧友ばかりで、馬しょくの首は切られない。同件はセーラ次期サンパウロ州知事が仕組んだ罠だと、シロー・ゴーメス下議が訴えた。PTのチンピラが、まんまと引っ掛かったのだとドロドロした政界の裏側を説明した。
当のセーラ氏は、涼しい顔だ。土壇場で数字をひっくり返す方法は、いくらでもある。これは、コップの中の嵐だと述べた。
ルーラ大統領は、ブラジリアにいて遠いサンパウロ市の片隅で起きた調書取引など知る由もないし、取るに足らぬことと思った。しかし、今はそれが片足に絡んでいる。大統領は調書のマヤから解放される決め手がないか、提言を求めた。側近らは、降ってきた災難として公開討論会で活路を見出すしかないという。
大統領、公開討論会で対決=倫理で腹をくくる=難題の核心論議に賭ける=知事提言、国民に顔を見せよ
2006年10月6日付け