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GDP成長予想を下方修正=中銀=4%から3・5%へ=財務、予算管理省は4%=実態に合わないと金融界

2006年9月30日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】中銀は二十八日、今年のGDP(国内総生産、ブラジル語ではPIB)予想成長率をこれまでの四・〇%から三・五%へと下方修正することを発表した。今年第2四半期(四月―六月)が〇・五%の成長にとどまったことから見直しを余儀なくされた。それでも金融市場の予想である三・〇九%を上回る数字で、若干の楽観姿勢を貫いている。政府の当初の予想は四・五%成長だったが、予算管理省は二十五日の国会で四%へと下方修正、マンテガ財務相も同様四%の見通しを崩していないことで、関係者からは実態にそぐわないとの批判も出ている。
 中銀は今年初めに設定された年内のGDP成長を四%とする強気な姿勢を崩し、三・五%へと下方修正した。中銀のこれまでの見通しに支えられて政府筋では当初の目標四・五%を維持できるとしてきたものの、大義名文は失われ、下方修正を余儀なくされた。
 しかし予算管理省と財務相筋では依然として四%成長を唱えており、金融関係者から実態にそぐわないとの批判も出るとともに、選挙に向けてのジェスチャーだととらえる向きもある。金融界はより現実的で、これまで三・二%から三・三%と予想していたのが、今週に入ってこぞって下方修正して平均で三・〇九%と最低の見方となった。
 中銀によると、今回の修正は公的数字であるブラジル地理統計院(IBGE)が発表した第2四半期の成長率が予想に反してわずか〇・五%にとどまったことで、急きょ見直しが求められた。
 見直しの指標は八月の時点でのSELIC(基本金利)の年利一四・二五%と対ドルレートの二・一五レアルが適用された。このため、これらのレートが大幅に変動すると予想にも変化が生じるとしている。
 家庭での消費が四・二%上昇するとの見方にもかかわらず、主要産業部門では一律減少の傾向となっている。天然資源の精製部門ではこれまでの九・四%成長から七・一%へと下げた。ペトロブラスの採油プラットフォームが六月と七月に停止したのが最大要因。
 加工工業会は最もインパクトが大きく四・〇%から二・八%へと、建築業界は七・六%から五・七%へと、公共サービス業界は三・〇%から二・八%へと落した。農畜産業界は、農産物収穫が一億一七〇〇万トンと昨年比四・五%増(IBGE発表)にもかかわらず、GDP成長は三・六%から下げて三%にとどまった。牛乳と鶏肉に加え米、フェイジョンの減収が原因となっている。
 いっぽうでインフレについては広範囲消費者物価指数(IPCA)を基に、当初予想の三・八%から三・四%へと下方修正した。来年度は四・二%の予想を四・三%へと引き上げた。この根拠については説明がないものの、金利引き下げ指向によるものとみられている。金融界では今年で三・〇三%。来年は四・三%との見方をしている。