【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】スイスに本部を置く世界経済フォーラム(WEF)がこの程発表した二〇〇六年―〇七年世界経済競争力ランキングでブラジルは一二五カ国中、六六位にランクされた。昨年より九位下がり、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)をはじめ、多くの発展途上国の後塵を拝したことで関係者は憂慮している。最大の原因は経済成長の鈍化だった。これを受けたマンテガ財務相は、観点のとらえ方の相違だとした上で、ブラジルの競争力は上昇しており、海外投資家もそれを評価して長期的投資の対象にしているとの見方を強調した。
ブラジルのランクは昨年度の五七位から六六位に下がった。WEFのブラジル統計担当によると、評価の指標となる主な九項目のうち、二項目で著しく悪い評価点がついたことが、ランクを九位下げる原因となった。
そのうちの一つがマクロ経済の実態で一二五カ国中、一一四位となった。その要因は財政赤字、公共債務の増加、金利高、低い経済成長、過度の税制、公共機関の業務効率の悪さ、汚職などが挙げられている。なかでも公共債務は、経済成長に匹敵する水準の対GDP三・三%となったことで、単項では昨年度の六八位から八三位へと下げた。
担当者によると、政府発表では明るいニュースが飛び交い、金融面は安定しているとのことで、今回の評価に首をかしげる向きがあるが、ランキングはあくまでも他国との比較だと説明している。つまりブラジルで改善されても他国がそれ以上だと、マイナス点がつけられるという。
もう一つのマイナス要因は、IMFなどの国際機関の評価となっている。さらに公共債務が経済成長の割には増加していることと、スプレッド高が銀行の実質金利高を生んで国内投資の防げとなっており、これが経済成長の足かせになっていると指摘している。この分野では一二五位と最下位にランクされた。
このほか、公的資金の悪用(一二一位)政府の浪費(一一九位)、政府の信用度(一一九位)などが評価を下げた。さらにブラジル内で企業活動をするには、税制、労働法、政府の官僚主義、インフラ整備、融資、汚職がネックになることもつけ加えられた。
しかしプラス面もある。技術の進歩と革新への追求は、ともに三八位で、初等教育および保健は四七位で国際平均を上回った。
統計担当者は、ブラジルは部門によってチグハグな面が多すぎ、これが一定して噛みあうとポテンシャル性を発揮すると結論づけている。この背景には政財界に優秀な若い人材が多いことを挙げ、世代交代で実力を発揮するとみている。
ランキングベストテンは以下の通り(カッコ内は昨年度ランク)。スイス(四)、フィンランド(二)、スウェ―デン(七)、デンマーク(三)、シンガポール(五)、米国(一)、日本(一〇)、ドイツ(六)、オランダ(十一)、英国(九)となった。
発展途上国の主なランクは、インド(四三)、南ア(四五)、中国(五四)、メキシコ(五八)、ロシア(六二)でいずれもブラジルを上回った。南米諸国ではチリが最上位で二七位、コロンビア(六五)、アルゼンチンのみが六九位でブラジルを下回った。
経済競争力125カ国中66位=昨年より9位低下=途上国多数の後塵拝す=低成長が最大要因
2006年9月28日付け