「もう青年じゃないけどね・・・」と落ち着いた雰囲気の中、〃青年たち〃が笑いあう。コチア青年連絡協議会(高橋一水会長)は、コチア青年還暦・古希・喜寿祝賀会を二十四日、宮城県人会館で開催した。十六回目の還暦祝い、七回目の古希祝い、そして今年初めての喜寿の祝いとなった同会には、該当者のうち二十人が出席し、約二十人が祝福のために駆けつけた。昨年五十周年を迎えたコチア青年移民らは、誰ひとりとして他人の手を借りることなく壇上までの階段を上り、整然とした様子で、〃青年〃の健在振りを見せていた。
今年の該当者は喜寿が二人、古希が八十人、還暦が五人。最近では還暦該当者よりも古希該当者の方が多数を占めるようになった。
祝賀会にはコチア青年移民導入に尽力した下元健吉さんの次男、慶郎さん、在サンパウロ総領事館沖田豊穂領事、文協副会長の小川彰夫さん、JATAK(全国拓殖農業共同組合連合会)常務の五十嵐清一さんらが出席。
喜寿、古希、還暦該当者は、名前を呼ばれると、それぞれ一礼して壇上にあがった。先没者への黙祷を捧げたあと、高橋会長ほか副会長らから一人ずつに記念品を贈呈。青年らを支え続けてきた該当者夫人らに花束が贈られた。
高橋会長は、「今までは家族や地域、ブラジルのために働いてきたが、これからは自分たちの時だと思う。残りの人生を楽しんでください」と挨拶。沖田領事は、「日系社会の土台の上で、ブラジル業界に新風を吹き込み、ブラジルに『コチア』の名前を築いた」と、青年らのこれまでの活躍を称えた。
パトロンを代表して、下元慶郎さんは「これからも子弟らの教育に力を入れていただきたい」と激励の言葉を送り、古希を迎えた香川公宏さんが、謝辞として、「コチア青年移民の五十年、日本移民の百年、日本戦後六十年と、様々な節目のこの時に、冷静に過去を振り返っておきたい。日本人としての誇りを持って、百年までがんばって生きていきたい」と話した。
喜寿該当者の古里善昭さんは「今、後悔はない」と強く言い切って昔を振り返る。カラグァタツーバに入植したものの、二年で体調を崩し、街へ出た。「農業をして身を立てるつもりだったから、日本を出た時の思いは叶わなかったわけだ」。日本の状況、家族のことを考えて生きてきた。「五十年の時間を経て今がある。余生を楽しみたい」と笑顔。
古希を迎えた山田充伸さんは、「来伯した五八年の(日本移民)五十周年式典で古希、還暦の人を見た時、『自分もこんなんになるのかな』と想像していた」と前置きし、「でも全く七十なんて実感はないね」。「苦労したことが今では、甘い楽しい思い出になっている。苦労の下敷きになった人もいることは心苦しいが、それを乗り越えた充実感がある」と、喜寿に向けての希望を語った。
式典後の昼食会には大きなケーキが用意され、古里さんがケーキカット。和やかな雰囲気で昼食会が続いた。
まだ多感、コチア青年=還暦、古希、喜寿、合同で祝う
2006年9月28日付け