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世界のデパートで買い物気分=増える輸入品目=主流は品質向上の中国製品=レアル高にもメリット

2006年9月22日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】ブラジルにいながらにして、世界各国のデパートで買い物をしている気分が味わえるようになった。ドル安レアル高の影響で輸入が急増し、一昔前までは考えられないような商品が店頭に並ぶようになった。しかも魅力は国産類似品と比べ値段が四〇%も安いことだ。インドネシアの鍋類、イランのピスタッチオ、中国のアイロン板や歯ブラシ、インドの洋服など、小物に至るまでが入手可能の時代となった。中国の品物は安かろうが悪かろうが定番となっていたが、品質が驚くほど改良されたというのが衆目の一致するところだ。
 スーパー業界三位のウォルマートは現在、輸入品の占める割合は四%で、昨年の三・二五%を上回っている。年内に新しく一三店舗の営業を計画していることから、この数字はさらに増えるとみている。
 やはり為替が要因となっており、安価な品物で客先に喜んでもらえるとして、年末商戦ではさらに品目を増やすとの意向を示している。最大の供給国は中国で、次いでインドネシアや韓国などの東南アジア、ラテンアメリカではメルコスル加盟国の食料品、インドの繊維製品となっている。 食品や飲料の専門店カーザ・サンタ・ルイザはこれまでの二十二カ国に加え、今年から中国とイランも供給国となり、二十四カ国の輸入品を販売している。イランからはピスタッチオと干ブドウを主に、中国からはハードおよびセミハード製品に加えて、アスパラガスも含まれている。
 昨年は国産品と輸入品の割合は半々だったが、今年は輸入品が五三%と一歩リードしている。顧客への最大のメリットは輸入品が三〇%から四〇%安いことで、ニーズに合わせているとしている。例を挙げると、アルゼンチンのゼリーは従来コンテナー二本だったが、今年から三本に増やしたという。
 スーパー業界二位のカレフールでは今年、繊維製品が昨年対比で八二%増加した。ベッド用品、テーブルクロス、バスタオルなどは六〇%の増加となった。これらはパキスタンとバングラデシュ製が主流で、衣料品は中国製となっている。店全体の繊維輸入品の占める割合は今年八%で、昨年の三%の約三倍になった。来年までに一五%から二〇%のシェアに伸ばすとの意向を示している。
 前出の商店以外は、輸入品目は企業秘密だとして公表したがらない。いっぽうで国産品との関係を保持したいとの考えも底流にある。しかし産業開発省の輸入統計を見ると、輸入急増がうかがえる。今年一月から八月までは五八五億ドルとなり、史上最高を記録した。昨年同期対比では二二・五%の伸長となった。業界アナリストは、年内は八三〇億ドルに達すると予想している。
 品目別では昨年対比で消費財が金額面で四〇・四%の増加だった。このうちハード製品(家具や家電など)が五五・五%で、ソフト製品が二七・九%の増加となった。資本財と半加工製品はそれぞれ二四・三%、一六・二%だった。
 関係者は国内経済成長に対し、製品輸入はマイナス材料になると警戒している。国内産業の萎縮の原因となり、今年上半期のGDP(国内総生産)成長がわずか二・二%にとどまった一因になったと指摘する。
 輸入品の主流は何といっても中国製品で、大衆製品と呼ばれる二〇レアル以下の小物は一一〇億レアル相当で、市場の四〇%を占めている。これまで中国製品は品質の悪さが定番となっていたが、ここ二年来、品質が改善されて「安かろう良かろう」がキャッチフレーズとなっている。中国からの輸入は今年八カ月間で四八億ドルとなり、昨年比四七・五%増となった。これにより、ブラジル向けの世界三番目の輸出国にのし上がった。