【既報関連】サンパウロ市の近郊アチバイアで開催されている第二十六回花とイチゴの祭典会場で、地元の日伯文化体育協会(文協・辻修平会長)の搗きたて餅が大繁盛している。中でも、今年、初めて登場した『いちご入り大福』が予想以上の健闘を見せて、祭り中日となった十六日と十七日に、それぞれ百六十と二百四十パックが売れた。
文協モチつきコーナーで販売されている搗きたての餅は、一パックが白餅八個入り、大福五個入り、イチゴ入り大福四個入り、の三種類で、価格は共通の六レアルだ。「この祭りはアチバイア市民の行事だが、日系コロニア色彩が濃く出ているのが特徴だ。その中で今ではモチが花とイチゴに並ぶ名物として定着している」と、祭りを主催しているオルトランジア協会の平中信行会長が言及している。
今年は、中国から手に入れた原料を使って割り箸二十万セットを作り、事前広報の一環としてサンパウロ州だけでなく、近隣諸州の銀行、食堂、旅行社などに配った。来場者がその割り箸を持参すれば、会場にある菓子店でイチゴ入り大福一個と交換できる、という仕組みだ。
この大福は大量生産の品だが、文協モチつきコーナーでのいちご入り大福は、一個一個が搗きたての餅を使った手作り品、というのが特徴だ。互いに相乗効果があったに相違ないが。
ブラジル農友会(山下マリオ会長)と在サンパウロ米国総領事館の一行百二十余名も来場していたが、文協モチつきコーナーで試食をして、「トテモオイシイデス!Excellent!」を連発していた。
ブラジルで初めて健康野菜の山くらげ栽培を手がけたグァタパラ移住地の池津勝治さん(茨城県)は「あんの甘さとイチゴの酸い味が重なってさっぱりしている」と評価。この祭りの常連来場者を自称するカンピーナス(東山移住地)の佐藤ルミさん(宮崎県)は、初めていちご入り大福を食べたけど、大好きになった、と一人で四パックも購入していた。
蒸したモチ米をまず機械でこねるが、会場にある臼に移して、杵で搗いて仕上げる。この時は周囲がヒトでいっぱいになる。一時間に約十回搗きあげるが、十七日には午後二時過ぎに売る餅が無くなり、客に数分も待ってもらう時間が続いた。この時点で大福といちご入り大福は売り切れた。当日は入場者を乗せた貸切バスが二百台を越えた(協会関係者談)ので無理もない現象だ。
アチバイアの花とイチゴ祭り会場で餅つきが始まったのは七年前だ。コチア青年移住者でアチバイア文協会長も歴任した(故)山口節男さん(長野県)が提案したもの。
当初はモチ米百キロの餅を売るのに苦労した、と関係者は述懐するが、今年はモチ米を千五百キロ用意している。日本国民の伝統的な食べものがブラジル国民(の来場者)に愛好者を着実に増やしており、餅はアチバイア花とイチゴの祭典に欠かせない一品となってきている。祭り最終日となる今度の週末の展開が楽しみだ。餅や大福を希望する入場者は、早めに求めておくのが賢明なようだ。
もち、絶好調=アチバイア花とイチゴ祭り会場で=初顔〃いちご入り大福〃=米国人も「トテモオイシイ」
2006年9月21日付け