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毒蛇に噛まれる被害急増=棲家を追われ、庭に引っ越す

2006年9月15日付け

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十日】全国で毒蛇に噛まれる被害が急増し、保健省では注意を呼びかけている。二〇〇一年の被害は一万八八九五件だったが、〇五年には二万八六四八件となり、五一%の増加となった。
 しかし、かといって蛇が繁殖して数が増えた訳ではない。専門家筋によると、被害が増えた原因は統計システムの充実で実態が明らかになったことと、本来は蛇の領域だった場所に人間が入りこんで行ったことにあるという。蛇に言わせたら「平和に過ごしていた所に人間が侵入してきたので噛みついたまでさ」が本音なのだ。
 蛇と同様にサソリとクモの被害も急増している。サソリは〇四年に初めて毒蛇の被害を抜き、〇五年には三万六一九二件と上回った。クモの被害は一万九五九九件だった。農耕地の拡大と森林地帯や草原の開墾が被害増加の大きな原因で、七〇%が農村地帯となっている。特にアマゾン地方で大豆栽培がブームになったことで被害が増えた。
 さらにエコツアーで観光客が増えたのが一因。〇五年の地域別被害状況は北部が八四七七件、北東部が六七八一件、南東部が七六五九件、南部が二七三六件、中西部が二九九五件だった。
 毒蛇の被害は農村に限らず都市拡張計画の進展により新興住宅の建築が増えたことで、都市中心部や近郊の草むらでの被害も多発している。近郊の自宅の庭で草刈りをしていて噛まれた人もいる。棲家を失った毒蛇がいつの間にか庭に住みついていたのだった。
 国内での毒蛇は主に四種類で、ジャララカが被害の九〇%で最も多く、カスカヴェルが七・七%、スルククが一・四%、コラルが〇・四%となっている。
 噛まれたら被害者を安静にしてすぐに最寄りの保健所に担ぎ込むこと。できれば噛んだ毒蛇を生け捕りあるいは殺して持ち込むこと。血清注射は蛇の種類によって違うので、これで手当てがスムースになる。さもなくば容体の検査などに時間を要する。
 死亡者の七〇%は、噛まれて六時間以上経ってから手当てを受けたため手遅れとなっている。局部は清潔な状態にしておき、血を流すために切ったり吸い取ることは禁物だとしている。保健省では二〇〇〇市に血清を配布し、保健所では常備しているので一刻も早く担ぎ込むことが肝要だとしている。
 毒蛇の被害は春から夏にかけての活動期が多く、予防には丈の長い長靴を使用し、草や葉を触る時は皮の手袋を着用すること。枯れ草などは特に要注意。
 サソリは毒蛇と違い、よほど症状が悪化しない限り血清注射の必要がなく、自然に治癒する。ただし子供や高齢者は要注意。被害は北部や北東部に多く、ゴミのたまり場などに生息している。
 クモも同様、血清は必要としない。ただ被害にあってから数時間後に症状が現れる例もあり、他の病状と混同することがある。