ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 次期政権の目標は5%成長=産業開発相が訴え=パロッシズムの復活を警戒=「影の大臣」が口出しか

次期政権の目標は5%成長=産業開発相が訴え=パロッシズムの復活を警戒=「影の大臣」が口出しか

2006年9月14日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】フルラン産業開発相は十二日、ルーラ政権の続投を前提とした上で、次期の任期四年間の経済成長を五%ないし六%に維持できるよう、経済成長を推進することをルーラ大統領に申し入れるとの立場を明らかにした。その上で、インフレ政策に横槍を入れるつもりはないとしながらも、具体的な提案は示さなかった。ただルーラ大統領が重んじているパロッシ前財務相の政策、いわゆる〝パロッシズム〟は排除すべきだとの考えを強調した。パロッシ前財務相は複数の疑惑で連警に追及されているも、来月の下院議員選挙で労働者党(PT)候補として最高得票で当選確実と見られており、「影の大臣」あるいは、「肩書きのない大臣」としてルーラ政権の懐に入る可能性が強く、これまで確執のあった党の要人は危惧している。
 フルラン産業開発相は次期政権の最大目標は経済成長にあり、四年間で最低五%を維持するのが不可欠だとの考えを強調した。この背景には第2四半期の経済成長がわずか〇・五%にとどまり、一月から六月までの上半期で二・二%と低成長を示したことにある。
 これに対し、ルーラ大統領およびマンテガ財務相は、政府目標の四・五%は達成できるとの強気の態度を崩していない。しかし産業開発省では先週、年内成長予想をこれまでの三・八%から三・三%に下方修正した。開発相の発言はこれを憂慮したものとなった。
 いっぽうでインフレは政府目標の四・五%を下回り、三%に近い線で落ち着くメドが立ったことで(中銀調査では金融機関の平均予想は三・三%)、開発相は中銀のインフレ対策の成果を賞賛しながらも、経済成長政策はインフレ抑制と重ならないことが前提になると強調している。
 これにともない、パロッシ前財務相の政界復帰が大きくクローズアップされてきた。フルラン開発相はもともと前財務相の経済政策に批判的で確執があったことから、経済成長には〝パロッシズム〟が障害になると明言している。
 前財務相はルーラ大統領の信頼厚く、大統領は最後まで辞任を拒否していた経緯があり、関係者によると辞任後も複数回にわたり面談していたという。前財務相は党内最高得票で当選すると予想されており、今度は国会議員として発言することになり、党内革進派議員は早くも警戒を強めている。
 フルラン開発相は、前財務相の金利政策と政府支出拡大が経済成長の鈍化につながったとして、この悪政を繰り返してはならないと強調している。いっぽうでパロッシ候補は選挙遊説で、向う十年間に向けての財政プライマリー黒字の維持(GDPの四・二五%)と税制改革を政府に提言するとのスローガンを揚げており、反パロッシ閣僚の神経を逆なでしている。
 反パロッシ体制といわれるのはアレンカール副大統領兼国防相、ロウセフ官房長官、ジェンロ憲政相、ロドリゲス前農相などで、とくにアレンカール副大統領は当時、「馬鹿げた金利高」と非難した経緯がある。また議員権はく奪で辞職したジルセウ前官房長官は、ルーラ大統領がパロッシ体制を固めた時点で辞職すべきだったと悔んだという。