【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】国内総生産(GDP)の成長率が第2四半期でわずか〇・五%となり、今年六月までの上半期では二・二%にとどまったことで各業界に衝撃が走り、一様に年内予想の下方修正の動きを見せたが、政府機関でも修正への方向づけをしている。アッピ財務次官が明らかにした。ルーラ大統領とマンテガ財務相は政府目標の四%は達成可能だと強気の発言をしているが、同次官は「不可能ではない」としながらも現実にそぐわないとして、実務レベルでの下方修正を近日中に発表するとの見解を示した。いっぽうで金融業界では三・二%の予想が大勢を占めている。
アッピ次官は四日、記者会見で年内の四%成長は希望的観測の意味合いが強くなったとして、近日中に下方修正を発表することになるだろうとの立場を示した。具体的数字については、まず政府の財政収支を現時点で現実的数字に置き換える必要があると指摘した。さらに他の発展途上国に比べて経済成長が鈍化していることを認めた上で、長期的には肩を並べると将来性を強調した。
予算管理省の管轄下で経済指数の公的指数を算出する応用経済研究院(IPEA)でも、これまで三・八%に下方修正した予想をさらに引き下げる作業を行っており、六日に公表する予定。
中銀が各週毎に行う市場調査によると、ブラジル地理統計院(IBGE)がGDP成長率を発表した三十一日以降、金融界での年内GDP成長予想は三・二%が大勢を占めている。これまでは三・五%が主流だったが、これが三%から三・三%に引き下げられ、三・三%以上には成り得ないとみている。金融アナリストらは来年度も鈍化は継続し、政策転換で三・五%はあり得るが、政府が固執している四%は実質的に困難だと指摘している。
イタウー銀行のセトゥバル副頭取は、年内予想は三%に近いものだとし、現行の基本金利(SELIC)のさらなる引き下げが必要だと強調している。先の通貨政策委員会(COPON)で一般が予想した〇・二五%より大幅の〇・五%の引き下げを行って一四・二五%としたが、次回も同率の引き下げで一三・二五%にすべきだと主張している。
いっぽうでHSBC銀行のアナリストらは、経済成長の停滞は中銀の金利政策ではなく、政府の税制が原因だと指摘している。税制改革が呼ばれているにもかかわらず、政府は手つかずの状態で、仮に改革が行われたら、中国の成長率の九・一%に近づくのは容易だとしている。
さらにフランコ元中銀総裁は、経済成長にはとくに民間企業の投資が不可欠で、最低でも二五%増が要求されているとし、そのためには官僚主義を排除し、政府が投資環境を整える必要があると指摘している。
予想経済成長率を下方修正へ=財務省=4%は非現実的=金融界は3・2%が大勢=大統領は強気崩さず
2006年9月6日付け