【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】カルドーゾ前大統領は二十九日、野党ブラジル民主社会党(PSDB)がアウキミン大統領候補を中心に選挙運動で結束し、現政権における汚職事件のてん末がウヤムヤに終わったことへの国民の憤りに応えるよう、党員の熱意を求めた。政治家が不罰特権を盾に傍若無人な振る舞いでブラジルの政治を冒とくし、国民は失意のどん底でやり場のない憤まんで苛立っている。国民の憤まんを爆発させるため、PSDBは起爆剤にならねばならない。ルーラ大統領の仮面を引き剥がし、労働者党(PT)政権の本性を天下にさらせと檄を飛ばした。
CNTとIbopeの大統領選支持率調査で、ルーラ候補当選が確実視され、カルドーゾ前大統領は選挙運動に散漫な党の結束を求めた。PT政権を蝕んだ一連のスキャンダルで政治が堕落し、未来に希望を失い苛立っている国民に党は反応せよというのだ。
政治は名誉を回復する必要がある。国民の政治に対する憤まんを爆発させる起爆剤を、ブラジルは必要としている。公金を横領する盗人の行くべきところは、ブタ箱である。不正資金を享受した灰色政治家が、詭弁を使って議会の関門を潜り抜けている。
国会は、ブラジルを犯罪に曖昧な国としたムジナの穴である。ルーラ大統領は、ブラジルを歴史上最悪の堕落国家にした張本人であると訴えた。大統領は歴代大統領が誰も同じであったというが、とんでもない。工場労働者のリーダーであったころのルーラ氏は人間らしかった。いまは大ウソツキになった。
会場となったジョッキー・クラブからほど近い場所で同じころ、ルーラ大統領も前政権をこき下ろした。ルーラ大統領は、再選気分で次期政権の施政方針を発表した。
関係者は方針内容が疎漏で、社会保障院の赤字をどう改善するのか、税制はいかに改革するのかに一切触れていないと批判した。相変わらずのズサンな方針が、次期政権でも懸念されている。
ズサンさは、特に施政方針第七ページ。前政権の公社民営化で数々の不正が発見され、重大な疑惑を残したという。それなら何故、現政権で疑惑を解明しなかったのか。何故、提訴しなかったか。何故、国民に暴露しなかったか。
税収の増加率がGDP(国内総生産)の成長率より高いのは、税負担が限度を超えたことを意味する。大統領は減税というが、税制改革とはいっていないのがあいまいである。
労組改革も社会保障院改革も具体的方法を明示していないので、子供だましの施政方針といわざるを得ない。産業奨励策は、二〇〇三年に発表した原稿の再読だ。それより〇三年から〇六年まで、何をしたかいって欲しい。
大統領候補のアウキミン氏は、聖書の宮清めを引用し、政府機関を私腹を肥やす場に変えた灰色政治家を断罪し「宮ならぬブラジルを汚した者らを追放する」と声明を発表した。同候補は北東部や北部で効果がある聖書の話法を使い、宗教界を取り込むらしい。ルーラ大統領は討論会を欠席し正面対決を避け、犬の遠吠えのようにサンパウロ州のあら捜しをすると抗議した。
生活扶助金を乞食奨励金と呼ぶピアーダがある。怠け者だけが生活扶助金に頼り、働こうとしない。多くの北東部出身者が、サンパウロ市へ出稼ぎに来て成功した。ただヘリコプターを買っていないだけという。
PSDBの結束求める=前大統領が党員に檄=現政権の汚職を許すな=アウキミン氏も攻撃強化
2006年8月31日付け